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その昔──。源平合戦に敗れた平家の落人が、世をはばかり人目を避けるように住み着いたと言い伝えられるのが、五箇山の相倉合掌造り集落です。
日本有数の豪雪地帯であり、稲作もままならない厳しい自然のなかで、人々は合掌造りという強固な家屋を造り、家族のように支え合いながら暮らしていました。
平家の栄華を民謡に託した人々……。
また江戸時代には、100万石大名ゆえ徳川幕府との緊張関係にあった加賀藩の命により、秘密裏に塩硝(火薬原料)製造を行っていました。
ここでの主な生業は、養蚕と塩硝づくり。合掌造りの広い屋根裏で養蚕が行われ、蚕の糞が塩硝の原料となっていく──。地形的に隔たれた土地であったことも、隠密に行う火薬原料の製造にはうってつけだったのでしょう。塩硝を運ぶ街道も地図にはなかったそうです。
こうした気候条件と政治的背景により独特の文化が形成され、歴史のなかで奇跡的に生き残った集落が、今では世界文化遺産となったのですね。
相倉合掌造り集落は、世界文化遺産とはいえ、今でも人々が暮らしているのが特徴です。
合掌造りの家屋が23棟。寺院や神社、田畑、石垣、雪持林など今も昔ながらの様子をみせ、まるで時間が止まったかのような風景が広がっています。
合掌造りの特徴は、何といっても茅葺きの勾配のある高い屋根でしょう。
この勾配も地域の雪質によって傾斜が異なり、湿った重たい雪が降る相倉では、雪が落ちやすいように、より急な勾配の屋根になっています。
屋根の葺き替え作業は、約20年〜30年ごとに行われます。
今は森林組合が葺き替え作業をしていますが、昔は2年に一度、ユイ(結)と呼ばれる男たちの労力交換制度により、力を合わせて行っていました。ユイによる作業は、秋に茅を刈るところから始まります。屋根全面を替えるのではなく、片面を1区分や2区分などに分け、少しずつ行っていったようです。
家屋は、約100年~200年前のものが多く、古いものは400年前とも言われます。ユイとコーリャク(合力・女たちの手伝い)という相互扶助の慣習により、ともに支え合い小さな集落を守ってきた ── その象徴が茅葺きの屋根にあるのではないでしょうか。
相倉合掌造り集落では、四季折々のライトアップを行っています。
【日程】
3月2日(木)~5日(日)残雪ライトアップ
5月11日(木)~14日(日) 水田逆さ合掌ライトアップ
7月27日(木)~30日(日)夜涼みライトアップ
9月14日(木)~18日(月) 稲穂ハサ掛けライトアップ
11月16日(木)~19日(日) 冬支度ライトアップ
【時間】日没~21時まで
【料金】観覧無料 ※駐車場代:500円/普通車1台
【交通】車 東海北陸自動車道 五箇山I.Cより15km(約20分)、福光I.Cより25km(約30分) 北陸自動車道 砺波I.Cより35km(約40分)
電車 JR高岡駅・新高岡駅からJR城端線で城端駅(約50分)、バスにて五箇山相倉へ(約25分)
【問い合わせ】TEL.0763-66-2468 五箇山総合案内所・南砺市観光協会
── 集落には、手つかずの自然が多くのこり、まさに日本の原風景が広がっています。厳しい自然のなかで、人々が守り抜いた合掌造りに思いを馳せながら、ロマンティックなライトアップを楽しんでみてはいかがでしょう。