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寒の入りから数えて16日目。本日は、天文学的に太陽が黄経300度の点を通過する「大寒」を迎えました。大いに寒いという名が示す通り、寒さが極まり、厳しく冷えることはなはだしい時節。
関東地方でも、本日はみぞれか雪が降ると予報され、ぐんと冷え込む一日に。もうしばらくはじっと春を待つ日々が続きそうですね。
ぴんと空気が張り詰めた大寒のころは、昔から保存食作りに最適といわれ、日本酒や味噌、醤油、高野豆腐、寒天などを仕込む時期。長期保存が必須なこれらには、気温が低いこの寒の水を使うといいとされてきたようです。
また、寺社での寒垢離(かんごり)、寒中水泳、寒稽古など、あえて最も厳しい気候の中で、心身を鍛え精神を高める真冬ならではの行事も行われます。
さて、早いもので元旦に歳神様を迎えてからずいぶん日にちがたちました。1月20日は昔から、正月の祝い納めの日「二十日正月(はつかしょうがつ)」。松飾りやしめ縄など正月飾りを取り外す「松納め」は、関東地方では6日、関西地方では14日とされていますが、本日「二十日正月」にはいったい何をするかといえば……残ったお餅や正月料理などをすべて食べてしまうのだそうです。
正月用に用意した年取魚(関西では鰤、関東では鮭が一般的とされています)を、食べ尽くすことから「骨正月」とも呼ばれる「二十日正月」。例えば関西地方では、鰤の頭や骨を酒粕の汁の中に入れ、牛蒡や大根などと一緒に煮て食べるのだとか。他にも岩手県では「二十日ワッパカ」、群馬県では「棚探し」、岐阜県では「フセ正月」と言い、各地で正月の御馳走の残りをいただく風習が残っていると聞きます。
私たちもこの習わしにしたがって本日は、買い物に行かずに冷蔵庫に残った残り物をすっかりさらってしまうのはいかがでしょうか。お正月気分から改まって、日常へ戻る節目として、今日という日を意識してみるのもいいかもしれませんね。
このごろ庭や街路を見渡すと、寒い季節の中で凜と咲く椿の姿がはっと心を捕らえます。薮椿、冬椿、寒椿と種類も呼び名もいろいろ。色も紅やピンク、白と様々。その中でも、一重咲きの「佗助(わびすけ)」は、葉隠れに咲くその楚々と慎ましい姿で、茶花として長く愛されています。
京都の大徳寺・総見院には、豊臣秀吉が千利休から譲り受けたという、胡蝶佗助が残されているとか。
八重に咲く華やかな椿や山茶花もいいけれど、やっぱり佗助が好きだという人も多いはず。寒中にひっそり咲くその姿を見れば、寒さに心までかじかむような時期でもしんぼうしようと、なんだか勇気がもらえそうな。
寒さ極まる「大寒」を過ぎれば、後は少しずつ暖かくなるばかりと思えるころ。待ちわびる「立春」まで、あと2週間と少しとなりました。
※参考文献
年中行事読本(創元社)