12月も折り返しに入ろうとしています。この時期になると身のまわりを片付けて、新年に向けてスッキリとしておきたくなりますが、気温が低い中での水仕事は手荒れなどを起こしやすく、つらいもの。それでも避けて通れないのが年末の大掃除です。ですが、最近では大掃除をしない人たちも増えているとか。

そんな人たちにこそ知ってほしいのが、日本の伝統的習慣である「年末に大掃除をする理由」です。

ただ、身のまわりを片付けるだけではない理由を知れば、重たい腰も動きはじめかもしれません!

寒い時期の大掃除は、なかなか重労働ですよね……


大掃除を敬遠する現代人

年末の忙しい時期にしなければならない大掃除。

最近では、掃除グッズも簡単・便利なアイテムが増えてきて、負担も少しは軽減されてきているようですが、それでも、ふだんなかなか手が行き届かない場所を掃除するのは面倒なこと。

そんななか、あるアンケートで「年末に大掃除をする世帯」が2000年代に入り減少傾向を見せているようで、最近では大掃除をせずに「春掃除・秋掃除」をする人ちが増えたといいます。

ちなみに、「87%の世帯が大掃除をする」という回答 (2005年)に対し、2014年では59%にまで減少(2014年/花王株式会社調べ)。

普段からこまめな掃除を心がけていれば、わざわざ忙しい年末に大掃除なんてしなくてもよい……という考えが、どうやら最近は広まっているようです。

では、年末に大掃除をするという習慣は、いつから存在するのでしょうか?


神様を迎えるための大掃除

昔の人々はお正月には家に神様がやってくると信じていました。

新年にやってくる神様のことを「年神様」と呼び、人々はさまざまな準備をして迎えていたのです。

年神様には祖先の霊がのり移っているともいわれ、子孫繁栄を見守る存在とされていましたから、お正月は一年の中でもとても大切にされている日でした。

そんな年神様のため、家の中をきれいにして新年を迎えるという風習が生まれたのです。それが現代でいう「大掃除」です。

大掃除の習慣が始まったのは江戸時代からではないかといわれていますが、当時は12月13日に行われていました。

なぜ12月13日にかというと、里帰りする人を考慮したからだとか。今のように飛行機や新幹線がない時代、交通手段は「徒歩」。歩いて何日もかけて郷里に帰ることを考えて、早い日程に大掃除を済ませていたようです。

門松も神様を迎え入れるための風習のひとつ


大掃除の由来は「煤払い」から

大掃除の習慣が始まったのは江戸時代からではないかといわれています。当時は「煤払い」と呼ばれていました。

現代のように電気やガスがない時代、火を起こすのに薪や炭が必須でした。そのため、家の中には煤がたまっていきます。今では家に煤がたまることはありませんが、「煤払い」と呼ばれた理由から当時の生活習慣が垣間見られます。

ただ、当時の人にとっての煤払いは自分のためではなく、神様のためでした。ですので、煤払いは「神事」として大事にされてきたのです。今でも年末のニュースで伝えられるように、有名な神社仏閣では煤払いが伝統的に行われているのです。

── 面倒だと避けたくなる大掃除ですが、昔から日本人が年末の忙しい時期に必ず行ってきたのには、神様を信じる心があったのです。そこでご提案です。

仕事をしている人であれば、机の引き出し内や足元に溜まった不用な書類を「煤払い」ならぬ「不用品払い」で、早めに整理して、新年のご利益を願いましょう。

また、ご家庭であれば、2017年のよい運気を招き入れる準備のため、今週末は大掃除をして心をスッキリさせちゃいましょう!

昔の民家では煤払いの習慣も

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 今年もあと2週間あまり。日本人が年末に大掃除をする理由とは