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「青の洞窟」というと、イタリアのカプリ島が有名ですが、日本にも「青の洞窟」といわれるスポットがいくつかあります。最も有名な沖縄の真栄岬をはじめ、岩手の八戸穴、静岡の天窓洞、兵庫の竹野、石川の珠洲岬、三重の楯ヶ崎、長崎の白戸の穴洞窟など。
そして北海道にも「青の洞窟」が3ヵ所あります。函館の近くの知内(しりうち)、小樽、そして積丹(しゃこたん)の3ヵ所です。
なかでも積丹半島は北海道でただ一つ、海中国定公園に指定されていて、どこまでも透き通った海が続く半島の断崖絶壁に、奇岩や大岩が並んでいます。まさに、北海道らしい大自然が広がる絶景です。
積丹の海は特に「積丹ブルー」とよばれるほど青く美しい絶景です。その透明度は北海道のなかでも特に高く、水深6~7mの海の底を肉眼で見ることができるほど、水が透き通っています。そしてその色は、南国のエメラルドグリーンと少し違い、緑色の色味が少ない真っ青なコバルトブルー。これこそが、北海道らしい「青」といえるでしょう。
積丹半島の「青の洞窟」は、半島東部の先端に近いところにあります。
ここでは実際にシュノーケリングで海に入って、青い世界を体験するコースがあります。シュノーケリングは、潜るというよりは、浮かびながら海の中をのぞくというもの。スーツはドライスーツなので寒さを感じることはありません。また、泳げなくてもOK。子どもも参加できます。
また、船底から積丹ブルーの海底をのぞくことができる展望船もあります。船上で奇妙な形をした岩場を臨んでいると、カモメが船を追いかけてきて、自然とのふれあいも。かたや船底で海底をのぞくと、まるで海の中を散歩しているように、青い神秘の世界を味わうことができます。
積丹はウニの産地としても全国的に有名です。ウニは海底の藻を食べるのですが、北海道では藻や昆布など海草そのものがおいしいので、自然とウニの味もいいといわれています。
ところが、積丹の海にはほとんど海草が生えていません。その原因のひとつとして、キタムラサキウニの食害があげられます。最近の海水温の上昇で、冬場でもウニが活動するようになりました。冬は、藻や昆布などの海草が発芽する時期ですが、これから成長するであろう海草の若い芽を、ウニが食べてしまうというのです。
そして、海底には緑色をした海草がなくなり、白っぽい岩だけがゴロゴロと転がっている…。この海底の「砂漠化」こそが、積丹の海を、より青く鮮やかにしているというのです。
美しい積丹ブルー、おいしいウニ。海の美しさを残しつつ、ウニが枯渇しないような漁場の維持。これからの積丹の課題が見えるような気がします。
〈参考サイト:NHK NEWS WEB, 2017.07.28, 「青の神秘“積丹ブルー”に潜る」〉
海の青さと奇岩が並ぶ自然の地形で有名な積丹ですが、もう一つ、忘れてならないのがウニです。夏になると、積丹のウニを待っている道民も多く、わざわざ積丹に行ってウニを食べるリピーターも数知れず。
積丹では6月にウニ漁が解禁になり、今がまさにウニの食べどき。8月いっぱいは生のウニを堪能することができます。
漁獲されるウニのほとんどが、キタムラサキウニ。ムラサキウニよりも一回り大きく、食べごたえがあり、身は淡い黄色。一方、エゾバフンウニという、トゲが短いウニも獲れます。こちらは身の色が濃いオレンジ色で、味は濃厚。漁獲数が少ないので値段ははりますが、お目にかかったらぜひ食べておきたい幻の味です。積丹には、白っぽいキタムラサキウニと、赤っぽいエゾバフンウニで、ウニの紅白丼という超ぜいたくな丼を出している店もあるとか。夏にしか味わうことができない積丹のウニ。ぜひ食べておきたい旬の味です。
南国のエメラルドグリーンとは違う、北海道の青い海。なかでも積丹ブルーの透明度は格別です。ところが、この青さの一因に海水温の上昇がからんでいるとは意外です。夏限定の積丹のウニは北海道の人気グルメの一つで、全国からこのウニを食べるために大勢の人が訪れます。青い海と、おいしいウニの共存…。そんなことを考えつつ、積丹を訪れてみてはいかがでしょう。