【阪神】森下翔太、低弾道の18号“ロケット花火”「食らいついた結果」勝ち同然ドローでM18
<ヤクルト2-2阪神>◇23日◇神宮
阪神がヤクルト相手に延長12回2-2で引き分け、優勝マジックを18に減らした。試合を盛り上げたのは森下翔太外野手(25)の“低弾道ロケット花火”だった。初回に先発山野から左翼席へ18号先制2ラン。今回の3連戦を前に藤川監督が「神宮花火大会のように」と野手陣に飛ばした大号令に応えた。余韻を楽しむ大きな放物線ではなく、あっという間の弾丸ライナーだっだが、これぞパワフル3番の真骨頂。優勝へのカウントダウンを進める。
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高校野球の祭典が終わっても、阪神のアツい夏はまだまだ続く。暑さがやわらぐ「処暑」に入った23日。神宮で2夜連続延長戦の激闘を繰り広げた。12回で決着がつかなかったが一歩前進、優勝マジックを「18」に減らした。セ・リーグ独走状態の阪神にとっては、勝ちも同然のドローだ。
熱戦は森下の鮮烈な低弾道の“ロケット花火”から始まった。初回1死一塁。カウント1-2から、左腕山野の低めの直球をとらえた。すさまじい勢いの弾丸ライナーは左翼席最前列に一直線。会心の18号の先制2ランとなった。
「全然、打点を挙げられていなかったので。得点圏で全然打てていないですけど、本塁打という形で点を取れたのでよかったです。ホームランになったのはたまたま。食らいついた結果です。(初回から)しっかり振れる準備を今日はできたのかなと思います」。5試合ぶりのアーチでキャリアハイをまた更新した。
東都リーグの中大で活躍した森下にとって、神宮は大好きな球場の1つ。これで球場別最高の打率3割5分9厘で、本塁打も3本。藤川監督は今回の3連戦を前に「神宮と横浜で夏らしい戦いができれば。神宮花火大会のように」と“空中戦”を制す勝利を期待していたが文字通りの1発回答。初戦はヤクルト村上、この日は山田にソロを打たれたが、虎の3番も負けじと指揮官の大号令に応えた。
だが、そのあとが続かず、11個の0を並べてしまった。9回に追いつかれ、森下のリーグ最多17度目の勝利打点も消えた。森下自身もその後5打席、いずれも走者を置いた状況で1四球&安打なし。10回2死一塁は空振り三振、12回2死一、二塁は右邪飛に倒れ、悔しそうな表情を浮かべた。それでもヤクルトのサヨナラ勝ちを許さず、価値あるドローに持ち込んだ。
これで夏の長期ロードを11勝6敗1分けとし、4試合を残して2年ぶり勝ち越しも決めた。開幕からフルに戦ってきた森下ら主力選手に疲れは見える。それでも優勝マジックは確実に減っている。午後10時を回って鳴り物応援が禁止になっても、東都の虎党は声を枯らして後押ししてくれた。栄光のゴールまで、もうひと踏ん張りだ。【柏原誠】