【川崎F】早大卒の神橋良汰がプロデビュー「まぐれじゃない」成長のきっかけは3週間前の議論
<明治安田J1:名古屋-川崎F>◇第27節◇23日◇豊田ス
川崎フロンターレのルーキーDF神橋良汰(23)が、敵地名古屋グランパス戦でJ1デビューを果たした。
前半12分、足を痛めた先発のDF丸山祐市(36)に代わり、緊急出場。川崎Fの選手として初めてJ1のピッチに足を踏み入れた。
クラブの下部組織で育ち、早大を経て今季加入。同期の高卒新人がリーグ戦初出場を飾る中で、唯一出番なし。入団当初に掲げた「開幕スタメン」からはほど遠いプロ1年目を過ごしてきた。
「理想からはちょっとかけ離れている部分はありますけど、それも覚悟して入ってきている。難しいだったり、苦しい部分は多少というか、もうだいぶありますけど、でも、ここでやり続けなきゃいけないなと思います。ここから逃げたら多分終わっちゃうかなというのと、やり続けた選手がやっぱり今試合出てると思うので、個人的には確実に成長をすごく感じられているので、苦しいですけど、続けてやるしかないかなみたいな感じには今思ってます」
身長193センチ、体重92キロ。ワールドクラスのサイズ感を誇る左利き。今節が今季3度目のベンチ入りだった。技術的な向上やアジリティー能力の強化など、地道な取り組みが自身の成長につながっている。
「本当に最近なんですけど、自分が声出して、意図的にボール奪えたりするシーンが増えてきています。チームメートやスタッフからも結構褒めてもらえたりいい自信になってはいます」
周囲を動かす守備に手応えをつかみ始めている。きっかけは3週間前にあった。ゲーム形式の練習で、戦術眼に優れるボランチの山本悠樹(28)と守り方をめぐって意見をぶつけ合った。ボールの取りどころがなく、相手に思うように崩された。自身の1列前の選手から厳しい声をかけられ、守備の統率について、今まで以上に深く考えるように。練習の映像を入念に見直すようになり、改善に努めた。
「その時は『おれはどうすりゃいいんだよ!』と思ったんですけど、いろいろと研究して整理できました。今はものすごく手応えがあります。ケガ人が多くて人数不足というのは多少ありますけど、まぐれじゃないメンバーになれている」
手にした自信が対人で強さを発揮する好循環を生んだ。チームでもトップクラスの体格。家長昭博や伊藤達哉といった経験豊富なアタッカーから「お前のサイズならもっとできる。もっと強くいけ!」と助言を受け、局面での激しさが増した。
進化は確かだ。アクシデントとはいえ、丸山が負傷した際に、他のDFではなく神橋の名前が呼ばれた事実が、長谷部茂利監督からの信頼が高まっている何よりの証拠。将来有望な大型センターバックが、憧れの舞台で大切な1歩を踏み出した。【佐藤成】