【日本ハム】万波中正「入ってくれー」M点灯阻止する決勝弾 真夏の天王山第1R先勝「マジ、最高」
<日本ハム4-3ソフトバンク>◇22日◇エスコンフィールド
2位日本ハムが万波中正外野手(25)の決勝アーチで首位ソフトバンクの優勝マジック点灯を阻止した。同点の7回に右翼へ出場8試合、32打席ぶりとなる19号ソロを放つと、新庄剛志監督(53)も両手を上げて歓喜した。8月絶不調だった長距離砲が勝負どころで大復活し、真夏の天王山第1ラウンドを先勝。逆転Vへ向けて、まずは首位とのゲーム差を1つ縮めて「2・5」とした。
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万波が、さけんだ。「入ってくれー」。同点の7回先頭。ソフトバンク藤井の初球を捉えた打球は右方向へ飛んだ。柵越えを確信できず、願いながら走るとボールはスタンドへ飛び込んだ。「“後がない”っていう時に、ああいう1本を打てたのはマジ、最高」。天王山といえども、負ければ自力優勝の可能性が消滅する一戦だった。先行され、逆転し、追いつかれるという展開の中で試合を決めるのは「ビリビリきました」としびれた。
新庄監督も「ああいうとこで決めてくれる男とは信じてましたけどね」と笑顔だ。月間打率が1割台と苦しむ8月の万波に対し、2日前の20日オリックス戦の試合前には「今、大きいのは捨てよう」「とにかく芯に当てよう」「ペッパーの意識で」と声をかけていた。パワーはメジャー級。ミートを意識させてから3日目のこの日、最高の結果を出してくれた。
新庄監督は前夜、ソフトバンクとの直接対決を前に選手たちが「間違いなく萎縮するでしょ」と想定していた。この日の試合後は「選手たちの声が聞きたい。それを記事にしてほしい。僕はチェックしてるんで」と報道陣に“本音取材”を託した。万波は赤裸々に本音を明かしてくれた。
万波 それ(萎縮)はないっすね、正直。マジで、やっぱこういう試合がやりたいって気持ちですし。Aクラスに入れなかった時期はずっと、こういう大きい試合を憧れてテレビで見たりして恋い焦がれてたし(笑い)。緊張もしてるんですけど、それによって気後れするみたいなのは僕はあんまりないですかね。
萎縮なんて、なかった。注目される大一番で、実力を発揮できるチームをつくりあげてきた新庄監督も「この3連戦が勝負の分かれ道っていうゲーム。きっちり明日、明後日勝たせてもらって、さらにデッドヒートをファンのみんなに見せられたら」。チーム全体で“愉しんで”逆転Vへ突き進む。【木下大輔】