【ソフトバンク】中村晃「チャンス来る」代打決勝二塁打は準備のたまもの 1500安打へM3
<ソフトバンク5-4西武>◇20日◇みずほペイペイドーム
パ・リーグ首位のソフトバンクが3連勝を飾り、貯金を大台「30」に乗せた。2-2の7回1死二塁、代打の中村晃外野手(35)が右翼越えに決勝の適時二塁打を放った。プロ18年目、35歳のベテランがチャンスで持ち前の勝負強さを発揮。節目の通算1500安打にも残り3安打と迫った。2位の日本ハムも勝利して3ゲーム差は変わらないが、最短22日の優勝マジック点灯へ視界良好だ。
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中村が本格的に代打の準備を始めたのは、5回裏終了後だった。登場の直前はミラールームではなく室内の打撃練習場。「打ってます。投げてもらって。間が空くと体も冷めてしまうんで。行く前ぐらいにはしっかりバットを振ってます」。投じられたボールを打つ感覚を保ち、大仕事につなげる。
2-2の7回表、先発の上沢が1死満塁のピンチを切り抜けた。中村は自身の出番を予想していた。「僕も見ながら準備してました。ああいうところを抑えると、だいたい次の回はチャンスが来るんじゃないかと」。予想は的中。1死二塁で代打を告げられ、西武山田のフォークを右翼越えに運んだ。「狙い球とかはないですよ。ストライクゾーンに来た球をしっかり打てたかなと思います」。たった1打席の勝負で結果を出す。中村の準備のたまものだった。
「代打1本」で臨んだはずのシーズンも、故障者が続出した前半戦はスタメンも4番も務めた。昨季までと同じように守備、打撃、バント練習などのルーティンを崩さなかったからこそ動じなかった。前半戦で放った安打は66安打。後半戦はこの日が4安打目だった。「後半戦にペースが落ちるのは想定内です」と話していた中村。節目の通算1500安打まで「M3」としたが「今は個人の記録よりもチームが勝つことが優先。前の方が意識していましたけど、今は負けられない戦いも続くので」と、寡黙な打撃職人らしく、泰然自若の姿勢を貫く。
小久保監督も「あそこしかないところで打つんですからね。去年の経験も生きている」とプロ18年目のベテランに最敬礼した。中村の一打でチームは3連勝。貯金はついに「30」に到達した。21日の札幌移動日をはさみ、22日からは日本ハムとの直接対決3連戦。シーズン最終盤の行方を占う「真夏の天王山」だ。強いソフトバンクには頼もしい男がいる。【只松憲】