【阪神】“虎の小さな鉄人”中野拓夢、打って守って輝いた「守りは100%に近い」打撃も再浮上
敗戦の中でキラリと輝いた。阪神中野拓夢内野手(29)が元気なら何の心配もいらない。0-2の3回2死三塁。大野の真ん中に入ってくるカットボールを逃さない。コンパクトなスイングで計ったように左中間にはじき返した。
この2試合無安打だったが12打席ぶりの快音。「ヒットは出ていなかったけど、別に悪いとは思っていなかった。ちょっと丁寧に打ちにいきすぎていた部分もあったので。自分から仕掛けながらやっていった結果です」。以前から練習ではバットの操作性を高めるメニューを取り入れてきた。好調を維持してきた今季の取り組みを信じて、すぐに本来の姿を取り戻した。
5回にも右前クリーンヒット。打率は2割8分4厘に上向いた。巨人泉口を抜いてリーグ3位に浮上し、再び首位打者争いをうかがう。1番近本と2番中野のコンビは阪神打線の生命線だ。出塁率、盗塁数などでリーグ上位。2人が元気なら、打線の得点力が大きく落ちることはない。
バット以上に、存在感を示しているのが二塁守備だ。初回無死二、三塁。細川の飛球が後方に上がると、猛スピードで背走しながら右翼手前でキャッチした。三塁走者はタッチアップ態勢。中野は背中に目があるかのように、体を回してジャンピングスローで中継の大山に返球。走者を三塁に釘づけにした。
「まずはそこ(守り)です。守りはほとんど100%に近い状態でできる。常に投手を助けられる守備を心がけている。1プレーを大事にしながら守っています」と胸を張った。
前日19日にはさらに難度の高いダイビングキャッチあり、俊敏なカバリングありと縦横無尽にグラウンドを駆け回った。22年8月から連続試合出場が続く。今季も111試合のうち110試合にスタメン。これだけダイナミックに動いても大きな故障なくグラウンドに立ち続ける。
優勝マジックが1つ減って「20」になった。移動日をはさんで22日から神宮、そして横浜と長期ロードを締めくくる6試合。「ロードだからと意識することは全くない。チームがやるべきことをやれば自然と勝ちはついてくると思う」と中野は平然。虎の小さな鉄人が、でっかい目標までまだまだ加速を続ける。【柏原誠】