横浜対県岐阜商 タイブレーク11回裏、サヨナラ負けで泣き崩れる横浜ナイン(撮影・上山淳一)

<全国高校野球選手権:県岐阜商8-7横浜>◇19日◇準々決勝

甲子園の大歓声の中、横浜春夏連覇の夢を打ち砕く打球は無情にも左前に飛んだ。7ー7で迎えた延長11回タイブレークの2死一、三塁。サヨナラのホームを踏む県岐阜商の選手を見つめながら、ナインはその場で膝から崩れ落ちた。涙が止まらなかった。

前半戦は好機に1本が出ず、5回までに4点を追う展開が続いた。反撃開始は6回。3点を挙げ、土壇場の8回に同点に追いつく。9回1死満塁のピンチには左翼手を阿部駿大内野手(3年)に交代し内野5人シフトを敷いた。「相手のバッターが引っ張れないなと予想したので」と村田浩明監督(39)。狙い通り一塁へ転がったスクイズの打球を小野舜友内野手(2年)が駒橋優樹捕手(3年)へのグラブトスで本塁アウトに。10回裏も再びのピンチに2度目の5人シフトで切り抜けた。応戦の展開に、県岐阜商を押す大歓声。ベンチでは「気力だ!」と声をかけあいピンチをしのいだが、最後に力尽きた。

春夏連覇を目指した夏が終わった。村田監督は6月に行われた大阪桐蔭との練習試合で、2度春夏連覇を達成している西谷浩一監督(55)に、逃げずに立ち向かう強さを学んだ。練習では1つのミスも許さない。生活面も掃除にあいさつと徹底力を磨いた。今夏はメリハリも大事にし、村田監督も練習を離れると笑顔を増やし、選手たちからは「ヒロちゃんスマイル」と和ませた。「選手たちと幸せな時間を過ごさせてもらった。あっという間の1年間。本当によくやった」と、選手たちを頼もしく見つめた。昨秋新チーム結成から公式戦38勝2敗。春夏連覇は達成できなかったが、この数字が物語るものは「最強横浜」だった。【保坂淑子】

◆タイブレーク 横浜-県岐阜商戦で今大会7度目。18年春のタイブレーク制採用後、1大会7度は23、24年夏の各6度を上回る最多。過去に先攻が3点以上リードしたケースは今大会の綾羽6-4高知中央まで先攻の8戦全勝だったが、初めて黒星となった。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【甲子園】「最強横浜」ナイン涙…春夏連覇の夢叶わず「幸せな時間過ごさせてもらった」村田監督