【阪神】森下翔太、ミスターのように球場の空気変える一撃「伝統の一戦も長嶋さんや先人のおかげ」
<巨人0-3阪神>◇16日◇東京ドーム
いわゆるひとつのクラッチヒッターですね~。阪神森下翔太外野手(25)が東京ドームの特別な空気を変えた。
初回1死二塁。左腕井上の低めのスライダーをとらえ、虎党が待つ左翼の上段席まで飛ばした。1カ月ぶりの1発は自己新の17号2ラン。これが16度目の勝利打点。並んでいた佐藤輝を再びリードし、リーグ単独トップになった。
長嶋茂雄さんの追悼試合。居並ぶ巨人のレジェンドたちも驚いただろう。森下の打球に、そして首位独走の阪神の強さに。森下は「(村上)頌樹さんのためにも先制点がほしかった。最高の形で先制できてよかったです。自分のタイ記録(16本)でずっと止まっていたので、とりあえず久しぶりに1本出せたのは良かった。以降も打てる球があったので、それを捉えられるようにしたいです」とホッとしたように話した。
長嶋さんのような男だ。誰もが知る無類の勝負強さだけではない。守っても、走っても勝利に貢献し、ファンを魅了できる。話題になった「神の手」ホームインに、スーパーバックホームと走・守でも甲子園のお立ち台に立った。そんな選手は森下以外にいない。
「今、こうして野球をできているのも、伝統の一戦という風になっているのも長嶋さんや先人の人たちのおかげですから。そういう特別な日に打てたこともすごく良かったです」。
活躍の兆しはあった。この数週間はフォーム固めに苦心。構えの姿勢などを修正しながら試合に臨んでいた。15日のフリー打撃で左翼最上部の看板にぶち当てる大飛球を放った。選手やコーチも驚いたほどの飛距離。今回の本塁打はその近くの客席に飛び込んだ。
藤川監督も「とにかくゲームに出続けて、その中でいろいろなものを乗り越えていく選手。いい1本だったのでは。昨日もいいタイムリーが出ていましたから」と主力らしい姿に目を細めた。14日に25歳になったばかり。若きスラッガーが、天国のミスタープロ野球に、球界の明るい未来を示した。【柏原誠】