巨人対阪神 6回裏巨人2死一、三塁、左越えに3点本塁打を放つ坂本(撮影・たえ見朱実)

<巨人6-5阪神>◇15日◇東京ドーム

巨人が4点差をひっくり返す逆転勝ちで、首位阪神との3連戦初戦を制した。4点リードされた6回、代打の坂本勇人内野手(36)が反撃の3点本塁打。9年ぶり2度目の代打弾で空気を一変させると、7回には中山礼都内野手(23)が代打同点2ラン、8回にはトレイ・キャベッジ外野手(28)の犠飛で勝ち越した。ライデル・マルティネス投手(28)がNPB通算200セーブも達成。16日に行われる「長嶋茂雄追悼試合」の前夜に、大きな1勝をつかんだ。

   ◇   ◇   ◇

ほえた。確信して、坂本がほえた。0-4の6回2死一、三塁の場面で代打が告げられた。GReeeeNの「キセキ」が流れ、スタンドは大合唱。ムードを変えたいと願う気持ちを集めたようだった。その中を、打席に立つ。

阪神伊藤将との勝負は3ボールからフルカウントへ。集中力を研ぎ澄ます。内角の軌道だ。131キロカットボールにバットをコンパクトに合わせた。感触は十分すぎた。瞬間、走るより先に、力強く雄たけびをあげた。左翼席上段にズドンと響かせる第3号3ラン。16年9月8日阪神戦(甲子園)以来、約9年ぶり2度目となる代打本塁打で1点差とした。

ここまで防御率1・49でリーグトップだった先発山崎が、虎の攻勢に捕まっていた。4回に大山の2ラン、さらに近本の2点適時打と崩れ、今季最短の4回KOを喫していた。12ゲーム差と独走する阪神の強さを間近でみせられる展開。坂本の一振りが、一気にチームに活力を与えた。「1点差まできたので、まずは追いつけるように頑張ります」と本塁打直後に願った通り、7回に代打中山の同点2ラン、さらに8回にキャベッジの犠飛でついに勝ち越した。

試合前、苦楽をともにしてきた1学年下の後輩に、思いをはせていた。中日中田が、今季限りの引退を発表した。「聞いてはいたんですけど、寂しいです」。日本代表、21年途中からは巨人でチームメートだった。「かわいいやつなんで、思い出がたくさん。何よりね、あの守備が本当に天才だなって」とともに戦った日々を懐かしんだ。年を重ね、昔のようにはいかないのは身をもって分かる。自らも今季は2軍生活も経験し、苦しみながらチームの勝利のために汗を流し続けてきた。

阿部監督は「まだまだチャンスあるよと示してくれた1発だった」とたたえた。16日には、6月に亡くなった長嶋茂雄終身名誉監督の追悼試合が行われる。「結果的にすごくいい勝ち方だった」。もたらした勢いを、節目の日につなげる。【阿部健吾】

▼巨人は6回に代打坂本が3ラン、7回に代打中山が2ラン。坂本の代打本塁打は16年9月8日阪神戦で藤川から打って以来2本目で、中山は初めて。巨人が1試合で2本の代打本塁打は、96年9月20日中日戦で清水と吉村が記録して以来、29年ぶり7度目。今回のように2本とも走者を置いての代打本塁打は球団史上初めてだ。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【巨人】坂本勇人吠えた!大逆転呼ぶ9年ぶり2度目代打弾 集中力を研ぎ澄まし、左翼上段へ