92回(2010年)大会の開星戦の9回裏、2死一、二塁のピンチで開星糸原の打球を好捕する仙台育英・三瓶将太左翼手

<全国高校野球選手権:仙台育英-開星>◇14日◇2回戦◇甲子園

第107回全国高校野球に出場中の仙台育英(宮城)が14日、開星(島根)との2回戦を迎える。開星とは10年夏にも初戦で激突。その試合で、大ファインプレーでチームを救った三瓶将大さん(32)が当時を振り返りつつ、後輩たちへエールを送った。

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今でも昨日のことのように思い出す。1点リードの9回裏2死一、二塁。抜けたら終わりの大きな打球が、左中間へと上がった。この回から左翼の守備についていた三瓶さんが飛びついた。グラブに収まった。「本当に自分なのか」。あまりの衝撃に、甲子園の大歓声は全く聞こえなかった。

2年秋まではベンチとスタンドを行ったり来たり。「下手すぎて守るところがありませんでした」と話すくらいだった。チームも宮城大会8強止まり。センバツへの望みも消え、長い長い冬を迎えた。それでも、下を向いたことはなかった。「仙台育英のユニホームを着て、甲子園に行きたい」。物心つく前から言い続けてきた夢をかなえるために、必死だった。

チームの朝練はなかったが、午前6時から、ほぼ毎日、自主練をした。秋からはチームとして「1日1000スイング」。三瓶さんは帰宅後も家の前で日付が変わるまでバットを振り続けた。「玄関で寝落ちしそうなくらいでした」と当時を振り返った。

そして、夢はかなった。背番号「3」をつけ、初戦は守備でチームを救い、3回戦の興南戦では公式戦初本塁打を放った。「まさか自分がチームを救う守備をすると思わなかったので、今でも不思議です。甲子園は実力以上のものが出た場所でした」。昨年までは社会人クラブチームでプレー。奇跡のダイビングキャッチは、24年間の野球人生の中でも「あの1球」だけだった。

今回、2年ぶり出場の仙台育英ナインは、全員が初舞台だ。10年メンバーも2年ぶりの夏出場で、エース以外は初の甲子園。当時の自分たちと重なった。「一番成長できたのは、2年半の高校野球生活だったと思います。今までやってきたことを信じて、頑張ってもらいたいです」。歴史をつないできた先輩らの声も仙台育英の強さだ。【木村有優】

◆10年8月11日の開星戦VTR 仙台育英は「山陰のジャイアン」と呼ばれた開星の2年生エース白根尚貴(元DeNA)に抑えられ、3-5で迎えた9回も2死走者なし。が、安打と死球、失策で1点を返し、満塁で飛球を中堅手が落球して2者がかえり、逆転した。その裏、2死一、二塁のピンチで左中間の飛球を左翼の三瓶が好捕し、1点差を守り切った。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【甲子園】仙台育英OB三瓶将大さん「やってきたこと信じて」後輩へエール 10年夏に開星と対戦