【甲子園】連覇へ昨春王者撃破!京都国際・西村一毅「格上」に光った修正力「できすぎ」小牧監督
<全国高校野球選手権:京都国際6-3健大高崎>◇13日◇2回戦
初戦屈指の好カードとなった昨年の春夏王者対決は夏王者の京都国際に軍配が上がった。昨夏胴上げ投手の最速146キロ左腕、西村一毅投手(3年)が健大高崎(群馬)を相手に9回4安打3失点で完投勝利。160球の熱投で初戦突破に貢献し、史上7校目となる夏連覇へ好発進を決めた。昨夏準優勝の関東第一(東東京)も快勝し、創成館(長崎)は同校初の夏2勝で、それぞれ3回戦へ駒を進めた。
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最後の打者を打ち取ると、西村は控えめにグッと左拳を握りしめた。昨春センバツ王者で優勝候補の健大高崎を下して初戦突破。「健大高崎さんのほうが能力が上で格上だと分かっていた。自分たちの持ち味であるチーム力が出せた試合だった」と謙虚に振り返った。
昨夏、日本一を決めた決勝戦以来となる公式戦での甲子園のマウンド。序盤は制球が安定せずに苦しんだ。2-0の3回に内野安打と連続死球で満塁のピンチを招き、暴投と適時打で3失点。昨夏から5試合、27イニング目で初の自責点で、5回を終えて100球と球数もかさんだ。
ただ、修正力が光った。ピンポイント狙いからアバウトな制球で打たせて取る投球に変更した。味方も好守で応え、「今日は全員に感謝したい」。9回160球で4安打3失点。エースとして勝利に貢献した。
昨夏11番だった背番号は1になり、戻ってきた。数字は少なくなったが、体重を約6キロ増量したことにより平均球速は約5~6キロアップ。さらに、武器であるチェンジアップとの緩急差が大きくなった。「奥行きやブレーキが去年よりある」と利点を生んだ。
打線ももり立てた。初回にプロ注目の清水詩太(うた)内野手(3年)がセーフティースクイズを成功させて先制に成功。女房役の猪股琉冴捕手(3年)も2打席連続適時打など、10安打6得点とつながった。小牧憲継監督(42)も「ちょっとできすぎ。(相手は)スター軍団の強いチーム。個の能力では勝負できないので、全員でスクラム組んで向かっていきました」と真っ向勝負で勝利をつかんだ。
今春の練習試合で敗れた健大高崎に甲子園でリベンジ。史上7校目の夏連覇へ初戦で弾みをつけた。西村は「今年は自分が引っ張る立場でやってきた。今日は自分が足を引っ張ってしまった。次は自分が修正しないといけない」と自覚たっぷり。夏の主役は誰にも渡さない。【林亮佑】
◆西村一毅(にしむら・いっき)2007年(平19)7月7日生まれ、滋賀県甲賀市出身。小学2年で野球を始め、中学は近江ボーイズでプレー。京都国際では昨年夏、中崎琉生(現国学院大)との左腕コンビで優勝に貢献し、4試合に投げ自責点0(失点1)だった。最速146キロ。将来の夢はプロ野球選手。177センチ、70キロ。左投げ左打ち。