【甲子園】中越31年ぶり初戦突破ならず…序盤攻勢生かせず窪田優智主将「もう1度やれるなら…」
<全国高校野球選手権:関東第一6-1中越>◇13日◇2回戦
7年ぶり12度目出場となった中越(新潟)の31年ぶりの初戦突破はならなかった。昨夏の準優勝校、関東第一(東東京、2年連続10度目)に1-6で敗れた。1回表2死三塁から暴投の間に先制するも4回裏に追いつかれ、5回裏に2点を奪われて勝ち越された。1番堤歩力我(つつみ・ありが)遊撃手(3年)が3安打を放つなど、序盤に攻勢を仕掛けるが、チャンスをものにできなかった。
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土煙を立てながら、8番仲丸陽大捕手(3年)が一塁にヘッドスライディングをした。「自分が打って、(走者を)ためなきゃと思った。消極的になったらダメだと」。9回表1死一塁。そんな気迫も及ばなかった。6-4-3の併殺打で中越の夏は終わった。
「自分たちを自分たちで苦しめてしまった」。窪田優智主将(3年)は悔しさを押し止めながら話した。1-1で迎えた5回の攻防が明暗を分けた。中越は2死二、三塁をものにできなかった。その裏、2死一、二塁からイレギュラーした三塁強襲の打球が体に当たり、大きく跳ね返ってセンターにまで転がる、中越にとって不運な二塁打で勝ち越される。さらに失策で追加点を奪われた。
序盤は主導権を握りつつあった。1回表、先頭打者の堤が右翼線二塁打で出塁すると2死三塁から暴投で先制。先発の左腕雨木天空(3年)は「ストライク先行でヒットは仕方ない」と走者を出しながらも4回まで1失点に抑えた。打線は5回までに6安打。「もう1度やれるなら…。冷静さを持って試合に入れれば勝ちに近づけた」と窪田主将は無念さを隠さない。
「勝負強さ、技術、精神力があらためて必要だと思った」と話した本田仁哉監督(49)は、同時に「最終的に点差は開いたが、3年間力を蓄えれば、甲子園でレベルの高いチームと勝負ができる」と選手の奮闘をたたえた。
昨秋の県大会決勝、新潟明訓に3点リードを逆転されて敗れた。それ以来、集中と判断をテーマに結束力を高め、今春の県大会は10年ぶりに頂点に立った。ステップアップしてたどり着いた甲子園。3回戦に進出した94年以来の白星はならなかったが、壁を乗り越える手応えはあった。「後輩たちも甲子園の高いレベルの野球を経験して、そこで勝ってほしい」。堤は後輩に勝利を託した。【斎藤慎一郎】