広島対阪神 3回表阪神2死一、三塁、前川は投前へ先制の適時内野安打を放つ(撮影・岩下翔太)

<広島9-2阪神>◇12日◇マツダスタジアム

阪神前川右京外野手(22)が4年目でプロ初の4番に座り、3回に投手強襲の先制打を放つなどマルチ安打で復活の兆しを見せた。打線をけん引してきた4番佐藤輝明内野手(26)、2番中野拓夢内野手(29)がベンチスタート。藤川球児監督(45)は主力に休養を与えつつ、復調が待たれる若武者の奮起を促し、前川も期待に応えた。チームは敗れ、優勝へのマジックは「28」のまま。首位を独走しているからこその大胆なオーダー変更だった。

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虎の第111代4番打者が「デビュー戦」で結果を残した。前川がプロ4年目で初めて4番に座った。3回2死一、三塁の第2打席。広島先発床田の外角低めへの139キロツーシームを振り抜くと、打球はマウンドの左腕を強襲。タイムリー内野安打で先制点をチームにもたらした。

「与えられたチャンスで結果残せなかったら生きていけない世界なんで。今日は今日でよかったかなと思います」

5回にも床田を攻略。146キロの直球をはじき返し、三塁強襲の内野安打で出塁した。開幕当初はクリーンアップの後ろを支える6番を期待された。結果を残せず2度の出場選手登録抹消を経験。2軍でもがいてきた和製大砲はチャンスに貪欲だった。4番通達はこの日の球場入り後で「4番か、みたいな感じでした」とサラリ。球団では日本ハム新庄監督の現役時代以来、高卒4年目での4番起用。それを伝え聞くと「ありがたいですし。頑張りたい」と素直に喜んだ。

首位を独走する藤川阪神はオーダーを大胆に変更した。主砲としてチームをけん引し、打撃3冠も視野に入れる佐藤輝を外した。首位打者を争い開幕から全試合スタメン出場を継続してきた中野もベンチ発進。「2番遊撃」に熊谷、「8番二塁」に植田、木浪を「6番三塁」で起用した。藤川監督は常々、「選手のコンディションを一番大切にしなければいけない」と体調管理を重要視。前日の同カードでは雨天中止が決まると、指揮官の考えで先発や中継ぎ投手、一部野手の計7人をのぞき、休養を与えていた。

打線組み替えに指揮官は言葉を濁したが、「打線としてのいい攻撃というのはこれまでの床田投手との対戦のなかで順調に攻撃できていたのじゃないかなと思いますので」と話した。この試合前の時点で、今季床田に対し、佐藤輝は打率1割5分4厘、中野は7分1厘だった。小幡も含め相性面も考慮した模様だ。

4番で復調の兆しを見せた前川は前を向く。「徐々に良くなってきていると思うんで、1軍来た以上は結果しかないと思う。マルかバツかだと思うんで」。チームは敗れ、マジックは「28」のままとなったが、戦力維持に気を配りながら、リーグ優勝への道を進む。【伊東大介】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【阪神】4番起用の前川右京は復調の兆し 佐藤輝明、中野拓夢がベンチスタートと大胆なオーダー