聖光学院対山梨学院 汗を飛ばし力投する山梨学院先発の菰田(撮影・小島史椰

<全国高校野球選手権:山梨学院6-2聖光学院>◇12日◇2回戦◇甲子園

山梨学院がセンバツ8強の聖光学院(福島)を6-2で下し、9年ぶりの夏勝利を飾った。最速152キロ右腕の菰田陽生投手(2年)が昨秋の山梨大会以来となる先発マウンドに上がり、6回まで無安打無失点の快投を演じた。自己最長イニングとなる7回途中を投げ1失点で、同じ2年生の檜垣瑠輝斗投手につないで勝利。夏はチーム初の16強入りを決めた。尽誠学園(香川)岡山学芸館は、それぞれ3年生のエース左腕が完封して3回戦へ進んだ。

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甲子園に詰めかけたファンをくぎ付けにした。今春のセンバツで2年生として最速タイの152キロを投げた菰田が、今夏初の先発登板で一皮むけた姿を見せた。最速は初回にマークした147キロにとどまったが、スコアボードにゼロを刻み6回まで無安打無失点。打たせて取る投球で、センバツ8強に入りした東北の強豪を手玉に取った。

「とにかく長いイニングを投げようと、いけるところまでいきました」。7回に自身の暴投と2本の単打を許し1点を許したが、自己最長イニングを投げ切り、先発の役割を全う。同じ2年生の檜垣との継投で2失点に抑え、9年ぶりの夏勝利をもたらした。

194センチ、100キロの“投打二刀流”として注目を集め、吉田洸二監督(56)から「ダイヤの原石」と大きな期待を受けてきた。将来を見込んで一塁手として起用されながら、投げる方では2~3回のショートイニングでのリリーフが主戦場だった。指揮官は「檜垣よりマークが少ないと、思い切って菰田で」と先発に抜てき。暑さに弱く「ホッキョクグマ」の愛称があった菰田だが、試合開始時の気温は28度。心地よい浜風を浴びながらのマウンドはうってつけだった。

山梨大会途中から投球の幅を広げるべく、セットポジションだけでなくワインドアップを取り入れた。長身を生かした角度のある投球の持ち味に磨きをかけ「体重が乗り、勢いがついた」と手応えを実感。投球の引き出しを増やして甲子園に乗り込んだ。一方の打撃は3打数無安打に終わり、吉田監督は「マスコミの皆さんには二刀流と取り上げていただいていますが『二刀流(打撃練習)』と書いてもらえるとありがたい」と辛口エールを送った。次戦はバットでも-。聖地で始まった菰田劇場は、まだまだ序章に過ぎない。【平山連】

▽中日松永スカウト部長 「体が大きく、ボールに角度があっていい。まだまだ伸びしろもある。力がある球には、バッターも力で押し負けて内野ゴロになり、(相手打者は)きちんと捉えきれていなかった」

▽巨人・榑松スカウトディレクター「強弱を付けながら打たせて取るピッチングができていた。春と比べて一段階レベルが上がっている感じがして、このまま順調に成長すれば、来秋のドラフト候補になると思う」

◆菰田陽生(こもだ・はるき) 2008年(平20)12月21日、千葉・御宿町生まれ。九十九里リトルで全国優勝を果たし、千葉西シニアではジャイアンツカップ出場。山梨学院では1年春の関東大会でベンチ入り。趣味・特技はスノーボード、好きな選手はドジャース大谷翔平。好きな言葉は「陰極陽生」。50メートル走6・4秒、遠投100メートル、194センチ、100キロ。右投げ右打ち。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【甲子園】山梨学院9年ぶり夏勝利「ホッキョクグマ」2年生菰田陽生6回まで無安打無失点の快投