多摩川ボーイズの井端はこの試合3安打目をレフト前にはじき返した(撮影・久我悟)

<ジャイアンツカップ第19回全日本中学野球選手権大会>◇12日◇東京・大田スタジアムほか◇1回戦

中学硬式野球5団体の垣根を越えて、各地区予選を勝ち抜いた32チームで中学硬式野球日本一を争う。

創部2年目で大会初出場の多摩川ボーイズ(東京)が同じく初出場の横浜都筑リトルシニア(神奈川)に逆転で初白星を挙げた。ベンチ入り全員が2年の多摩川は1点を追う6回裏無死一、三塁から渡邉颯音が右三塁打を放ち逆転。後続が四球でなおも無死一、三塁から重盗で1点を加え2点差として、逃げ切った。

2点リードされた3回裏に反撃のタイムリーを放つなど、この日3安打を放った1番遊撃手の井端巧は侍ジャパン井端弘和監督の長男。小学生の頃はベイスターズジュニアなどに所属し、中学ではプロ野球巨人が運営する多摩川ボーイズで腕を磨いてきた。

170センチ、80キロのがっちりタイプで、長打も魅力だが、この試合は打席とカウント、試合状況により打撃スタイルを変えながら、3本の単打を放った。

例えば2点リードで無死二塁の第4打席はカウント1-2から、スイングをコンパクトに。「残り1回でもう1点欲しかったので、走者を三塁に送れば、2番、3番打者がなんとかしてくれると思いました」。内角球だったので、左中間にはずんだが、柔軟性のある打撃で、リードオフマンの役割を果たした。

東京都の予選の準決勝でリトルシニアの全国王者・世田谷西に1点差で敗れた。その後の3位決定戦で出場権を獲得しただけに「真っ向勝負して、勝ちたい気持ちを全員持っています」と話した。

横浜都筑は初陣ながら先制点を奪い、同点とされたが先に2点を奪うなど、勝利を目前にして逆転負けした。

先頭打者が出塁すれば、ヒットエンドランで積極的に攻めながら、流れによってはスクイズで得点する多彩な作戦に、選手が呼応して主導権を握った。

大会前にはエースの左腕・大沼珀満(3年)が左ひじ痛を発症して、ベンチから外れた。それでも三塁手の重田悠生(3年)が2度、三遊間の難しいゴロを処理してピンチを脱出。4投手の継投で逃げ切りたかったが、中盤の守備の乱れが最後まで響いた。

前日の開会式で、長文の選手宣誓で大会の幕を切った岡田康暉主将(3年)は「正直、相手が2年生ばかりでやりにくさもあったし、絶対に負けたくなかった。ミスが出てしまい勝てなかったのは、この試合まで、自分が中途半端にしていたからだと思います。あの時、もっとしっかり言っていれば…。そういうのが思い出されて、悔いが残ります」と涙をこぼし続けた。

2回戦は13日に行われる。

◆1回戦

調布リトルシニア(東京)0-4湖南ボーイズ(滋賀)

白山リトルシニア(石川)2-5兵庫伊丹ヤング(兵庫)

横浜都筑リトルシニア(神奈川)5-7多摩川ボーイズ(東京)

曽於ヤングスターズ(鹿児島)2-3北摂リトルシニア(大阪)

大阪南海ボーイズ(大阪)0-10世田谷西リトルシニア(東京)

うるまボーイズ(沖縄)1-2フレッシュ福岡ウイングス(福岡)

鳥取中央リトルシニア(鳥取)1-11愛知尾州ボーイズ(愛知)

秋田北リトルシニア(秋田)1-6旭川大雪ボーイズ(北海道)

八幡南ボーイズ(福岡)3-4橿原磯城リトルシニア(奈良)

中野リトルシニア(長野)6-3宇和島ボーイズ(愛媛)

取手リトルシニア(茨城)3-0東広島ボーイズ(広島)

ポニー佐賀ビクトリー(佐賀)5-4堺泉北リトルシニア(大阪)

岐阜中濃ボーイズ(岐阜)0-1佐倉リトルシニア(千葉)

湘南ボーイズ(神奈川)4-8富士見リトルシニア(埼玉)

仙台太白リトルシニア(宮城)14-6ヤング湊クラブ(兵庫)

武蔵嵐山ボーイズ(埼玉)12-5豊田リトルシニア(愛知)

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 多摩川ボーイズが初白星、侍ジャパン井端弘和監督の長男・巧が3安打 ジャイアンツカップ1回戦