【甲子園】岡山学芸館ナインが「利他の心」で初戦突破、3月に人命救助 エース青中陽希は完封
<全国高校野球選手権:岡山学芸館3-0松商学園>◇12日◇2回戦◇甲子園
岡山学芸館が2大会連続で初戦突破を決めた。
先発したエース青中陽希投手(3年)が9回6安打の完封勝ち。130キロ台の直球にカーブ、スライダーを織り交ぜながら的を絞らせない。要所ではチェンジアップをまじえ、クイック投法でタイミングも外した。自身初の甲子園マウンドで堂々の快投劇を演じた。
「この舞台(甲子園)を目指してやってきたので。ここで最後まで投げ切れたのがうれしい」
ナインは学校の理念でもある「利他の心」を大事にする。
意味は「自分の利益よりも、他人の利益を優先し、他者を思いやる心」。
3月の沖縄合宿中のことだ。背番号4の又吉涼太郎内野手(3年)ら5選手が昼食後に国際通りを歩いていると、1人の高齢女性が倒れていた。
又吉は「何も考えずに、体がとっさに動いた」。
危険な状態であることを察知。急いで「119番」通報し、救急車が到着するまでは心肺蘇生も行った。勇気のいる行動も「授業を通して習っていた。自分が今、全力でできることには気を配っている」と言う。1人の高齢女性の命を救い、那覇市消防局から感謝状を受けた。
二塁守備では、その又吉がビッグプレーを見せた。4回1死から一、二塁間を抜けそうな打球に横っ跳び。素早く一塁へと送球し、球場から歓声が上がった。「必死に食らいつこうと。どんな形でも取りいく意識だった」と汗をぬぐった。
松商学園(長野)に競り勝ち、3回戦進出を決めた。まずは同校史上初の全国8強入りへ、次戦は16日に山梨学院と対戦する。【佐藤究】