【とっておきメモ】お立ち台で平和願った西武隅田知一郎 次世代に伝えた「食べること、寝ること」
<西武9-4楽天>◇9日◇ベルーナドーム
「8・9」は特別な1日だ。西武の隅田知一郎投手(25)が、8回途中2失点で自己最多タイの今季9勝目を挙げた。長崎県出身の左腕は、長崎市街地に原爆が投下されてから80年目のこの日、強い思いでマウンドへ向かい、勇敢に投げ込んだ。23年の「8・9」にもプロ初完封し、その2年後。プロ野球選手としてさらにたくましくなり、1人の大人として平和への願いを口にした。
◇ ◇ ◇
隅田はお立ち台で平和を願った。少年少女たちを意識し「食べること、寝ること」とイメージしやすい言葉を使っていた。
「まぁ、そうっすね。大人にもそうですけど」
時に「僕、自己中っすから」と笑いながら、本当は相手の存在を、言葉の行き先をしっかりとイメージできる人だ。恒久の平和には、次世代にいかに伝えるかが大事と感じている。
「調べて知ってもらうことですよね。僕は被爆者とか直接見て育ったんで、残酷さはすごく分かる。(今の子は)みんな戦争ってどんな感じなんだろうって、ただの殺し合いみたいなイメージだと思うんで。長崎県だけじゃなくて、できれば日本中で、そういう勉強をできるようにした方がいいんじゃないかな」
球場には子どもたちもたくさんいた。調べればショッキングな資料もある。その中でいかに感じてもらえるか。食べること、寝ること-。隅田は柔らかくパスを出した。【金子真仁】