西日本短大付対弘前学院聖愛 4回表西日本短大付2死一塁、山下は右越え2点本塁打を放つ(撮影・加藤哉)

<全国高校野球選手権:西日本短大付4-3弘前学院聖愛>◇9日◇1回戦◇甲子園

日本ハム新庄剛志監督(53)の母校、西日本短大付(福岡)が延長10回タイブレークで弘前学院聖愛(青森)を下し、昨夏から3季連続で初戦突破を決めた。6番山下航輝捕手(3年)が4回に先制2ラン。守っては1点リードの10回に邪飛を好捕するなど攻守で躍動した。

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右中間席への着弾を確認した山下が、右人さし指を突き上げた。甲子園初アーチ。スタンドがどよめき、大歓声を全身に浴びた。ダイヤモンドを夢見心地で周回し、胸が熱くなった。

「今までに受けたことのないような歓声だったので。気持ちよかったです」

0-0で迎えた4回2死一塁。1つ息を吐いて集中力を高め、真ん中低めチェンジアップを仕留めた。福岡大会決勝の九州国際大付戦に続く“2戦連発”の先制2ラン。大舞台で節目の高校通算20号に到達した。「2試合連続(本塁打)はない。持っているなと」。捕手としても投手陣を好リードし、延長タイブレークで1点リードの10回無死一、二塁のピンチで魅せた。先頭の1番が三塁ファウルゾーンに上げた飛球に「勝手に体が動いた」。左手を目いっぱい伸ばしてダイビング好捕。この回を無失点に抑えて逃げ切りを呼ぶ、ビッグプレーになった。

陽気な性格で、おとこ気にあふれる。試合前日の8日は、主にバッテリーを指導する今村匡詞コーチの40回目の誕生日だった。チーム宿舎で、山下はお祝いにとモノマネ風のギャグを披露。ただ、左翼安田は「全然、面白くなかった」と苦笑い。一発芸は不発だったが、この日はバットで会心の“1発芸”を決め、改めて今村コーチを祝った。

西村慎太郎監督(53)は「おとこ気のあるタイプ。最近の子たちにはちょっとない」と目を細める。投手が打たれても捕手として「自分のせい」と全責任を背負う気概の持ち主。凡打しても言い訳しないナイスガイをみんなが慕っている。

チームは3季連続初戦を突破。ナインは昨夏に続き、OBの日本ハム新庄監督の現地応援を夢見る。スケジュール的に厳しそうだが、勝ち進めば可能性が出てくるかもしれない。そのためにも山下は「日本一」と力強く宣言。92年以来の全国制覇を目指す。【佐藤究】

◆山下航輝(やました・こうき)2007年(平19)12月17日生まれ、福岡県八女市出身。小学2年から野球を始め、黒木中ではポニーリーグの筑後リバーズでプレー。西日本短大付では2年春に背番号12で初めてベンチ入り。趣味はギター。好きな言葉は「和顔愛語」。憧れの選手はレッドソックス吉田正尚。170センチ、70キロ。右投げ左打ち。

○…背番号11の左腕、原が好救援で勝利に貢献した。3-3で迎えた7回から2番手で登板。130キロ台の直球にチェンジアップで緩急をつけ、4回を2安打4奪三振で無失点にまとめた。味方が1点を勝ち越した10回のタイブレークは捕邪飛、見逃し三振、遊ゴロの3者凡退斬り。「後ろを信じて自分の投球をするだけでした。思ったところに投げられました」と充実の汗をぬぐった。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【甲子園】新庄先輩来るまで勝つ!西日本短大付「持ってる」山下航輝2ラン&ダイビング好捕で初戦突破