【阪神】新守護神・石井大智 延長10回のピンチ切り抜け37試合連続無失点 リーグ記録に王手
<阪神1-1ヤクルト>◇8日◇京セラドーム大阪
マウンドを降りる阪神石井大智投手(28)は少しも表情を変えなかった。延長10回のピンチを切り抜けると、京セラドーム大阪の観衆から大声援を浴びた。
4月5日から続く連続無失点記録は37試合まで伸びた。リーグ歴代2位タイに浮上。藤川監督が06年に樹立した38試合のリーグ記録についに王手をかけた。
1-1と追いつかれて突入した延長戦。伊藤将が完封目前の9回に追いつかれ、出番がきた。いきなり10回先頭の長岡に右前打を浴びた。犠打で1死二塁とされたが、ここからが面目躍如。太田には直球を軸にして、最後も147キロで空振り三振。赤羽はカウント2-2から強く腕を振って、ワンバウンドのフォークを振らせた。大事な局面で投げミスをしなかった。
2日に岩崎が腰の疲労のために出場選手登録を抹消された。自然と、虎が誇るミスターゼロが「代役」に近いポジションを任される。今回のように、走者を出してもホームは踏ませない。実はこの6試合で5度、安打を許している。最も意識するのが「リスク管理」。年々、必勝リレーを担う機会が増える中で突き詰めてきた。「こういう役割を任せてもらっている以上、もう自分の調子どうこうではないですから」。捕手とともに最適の答えを探る。理想のフォームや抑え方は持っていても、結果の世界で生きる男には「0」こそが全てだ。
6月6日に頭部に打球が直撃。ショッキングな離脱だったが、復帰後も1試合ずつ丁寧に準備を続けてきた。心身においてタフな先輩・岩崎のすごみも感じるという。チームの勝敗を背負う、しびれるマウンドを踏み続けることで自然とレベルアップもできている。「本当に、いい経験もできるので」。大記録はもう目の前。背番号69のコールが響いた数だけ、阪神の勝利も積み重なっていく。【柏原誠】