【甲子園】智弁和歌山・中井貴は政治家の道へ「スポーツから町を豊かに」春は投手、最後の夏は記録員
<真夏のライラック:智弁和歌山 中井貴記録員(3年)>
<全国高校野球選手権:花巻東4ー1智弁和歌山>◇8日◇甲子園
甲子園に波乱が起きた。センバツ準優勝の智弁和歌山が花巻東との接戦に敗れ、初戦で姿を消した。
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今夏から記録員を務める中井は、エース渡辺の隣で最終回の戦況を見つめた。「まだ、諦めたくない」。2人で懸命に声援を送ったが、願いは届かなかった。
中井は今春のセンバツで投手でベンチ入り。最速136キロ右腕で、上手、横手、下手投げを使い分ける“千手観音投法”を武器とした。春決勝の横浜戦は2番手で甲子園デビュー。6回2死二、三塁のピンチで、主砲の阿部葉と対戦したが、適時打を献上。続く奥村頼を一ゴロに斬り、唯一の聖地登板を終えた。
「将来は政治家を目指しています」。亡き祖父で政治家だった正千代さんの影響で、中学から政治関連の本を読みあさる。今夏も参議院議員選挙の動向に注目していた。「野球の経験を生かして、スポーツから、町を豊かにしたい」。地元和歌山から、国政デビューも夢見ている。
選手や記録員で視野を広げた2年半の高校生活。中谷仁監督(46)は「打撃投手で1時間近く投げ続けるので、止めに行っても『全然いけます』と。いつも笑顔でナイスガイでした」とたたえた。大学でも野球を続ける予定だが、県民や国民が笑顔で過ごせる暮らしもイメージしながら、学びに力を入れる。【中島麗】