【甲子園】14年ぶり校歌!東洋大姫路・岡田監督「ほっと」伝統「夏のTOYO」説き続け、届いた1勝
<全国高校野球選手権:東洋大姫路5-3済美>◇8日◇1回戦◇甲子園
アルプスの大歓声を浴びながら、東洋大姫路・岡田龍生監督(64)は14年ぶりに夏の聖地に流れる校歌を聞いていた。「なんとか夏という気持ちで(母校監督を)引き受けた。3年で夏出られて今日も1勝できて、肩の荷が下りたと言いますか、ちょっとほっとしているような感じですね」。この1勝は、格別だった。
2回裏に勝ち越したが、6回に失策から追いつかれた。それでも7回、時は来た。1番渡辺拓からの攻撃を前に、監督は「もう少し気持ちを下に下ろせ。気持ちを下半身に置いて下を使って振れ」と語りかけた。
渡辺拓が左前打で突破口を開く。木本が送って1死二塁。3番高畑が直球を捉えた。「力が入っていつものスイングができていなかったので、練習通り、楽に打席に入るようにしました。いい流れで回してくれた。打つ力になりました」と決勝打。白鳥も適時打で続いた。2点リードをもらった先発木下は9回にこの日の最速144キロをたたき出し、8個目の奪三振で136球完投を締めくくった。
77年夏の全国制覇。エース松本正志の熱投、安井浩二のサヨナラ3ランは学校史に深く刻まれる。大優勝旗をつかんだ先輩の姿は長きにわたり、後輩の指針だった。「春がだめでも夏や、と練習で徹底的に鍛えられて、それが身についています」。そんな野球人が履正社(大阪)を経て22年春から母校に戻り、「夏のTOYO」の伝統を説き続けてきた。昨夏の右肘側副靱帯(じんたい)損傷を乗り越えた木下は「勝つ野球をできる自信はありました」。夏にかける思いは、教え子にしっかり根付いている。【堀まどか】