サントス監督の大胆な決断が攻撃陣に火を付けた。ポルトガルは絶対的エースのロナルドに代えて、21歳ラモスを国際大会で初の先発起用。8年以上にわたって率いる指揮官だからこそなせるサプライズだった。 前半17分、ラモスが強烈なシュートをたたき込み、いきなり期待に応えた。同33分はCKから39歳のペペが力強いヘディングで加点した。後半も猛攻を続け、ラモスはさらに2ゴール。W杯の決勝トーナメントでは1990年以来、32年ぶりのハットトリックを達成してみせた。 フェルナンデスやフェリックスを軸に流動的にパスをつなぎ、スイス伝統の守備を崩壊させた。重圧のかかる一発勝負の舞台で計6ゴールと爆発。意外にもW杯の決勝トーナメントでゴールを決めたことがないロナルドは、得点のたびに拍手して仲間を祝福した。 68歳のサントス監督は2014年から指揮を執り、16年欧州選手権で初優勝に導いた名伯楽。ロナルドは戦略的な理由で先発から外したと説明し、「チームにとって非常に重要な選手だ。強い信頼関係がある。個人的な側面と、監督と選手の関係を混同することはない」。勝つための采配を貫いた。 新たなスター候補が誕生し、チームは勢いに乗ってモロッコとの準々決勝に臨む。初戦のPKを最後に得点のない主将ロナルドが復調すれば、悲願の頂点はさらに近づくだろう。 (ルサイル時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕前半、ポルトガルのラモス(左端)が先制ゴールを決める=6日、ルサイル(ロイター時事) 〔写真説明〕後半、選手交代でハットトリックのラモス(左)をねぎらうポルトガルのロナルド(中央)=6日、ルサイル