最多6度目の世界一を目指すブラジルに、頼れるエースが戻ってきた。右足首を痛め、泣きながらピッチを後にしたセルビア戦から11日。頭髪を金色に染め上げ、2試合の欠場を経て先発復帰したネイマールが、韓国戦で復活を印象付けた。 見せ場は早々に訪れた。前半13分。リシャルリソンがPKを獲得すると、スタンドをチームカラーのカナリア色で埋めたファンから「ネイマール!」コールが起こる。背番号10は大歓声を受けながらボールを手に取り、キスしてから入念にセット。小刻みなステップからGKをよく見てゴール右に流し込む。ベンチ裏のスタンドで観戦していた負傷中のチームメートに駆け寄り、抱き合って喜びを分かち合った。 8年前のブラジル大会では、準々決勝のコロンビア戦で脊椎を骨折。前回ロシア大会は右足の手術明けで、100%の状態でプレーできなかった。最後のW杯と位置付ける今大会。万全の準備を整えていただけに、初戦で負傷後は「泣いて過ごした」という。それでも諦めず回復に努めた。「全てうまくいった。けさまで治療し続けたかいがあった」と喜んだ。 この日のゴールで代表通算76得点。王様ペレのブラジル歴代最多得点にあと一つに迫った。だが30歳が何よりも欲しているのは、携帯電話の待ち受け画像にもしている黄金のW杯トロフィーに他ならない。 不測のアクシデントを乗り越え、ネイマールは「さらなる高みを目指す時が来た」と力強く言った。頂点を目指す準備は整った。 (ドーハ時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕前半、PKを決め喜ぶネイマール=5日、ドーハ(ロイター時事) 〔写真説明〕前半、攻め込むブラジルのネイマール(右から2人目)ら=5日、ドーハ(AFP時事)