モロッコはしたたかだった。慌てずに低い位置でパスを回し、ここぞの場面でスイッチを入れる。無得点には終わったものの、縦への鋭い攻めから何度も好機を生み出し、スタンドの多くを赤色に染めたサポーターを沸かせた。 攻撃の軸はジエシュとハキミ。欧州でも実績のある両者が、右サイドで縦に並ぶ。ジエシュが鋭いクロスを入れれば、ハキミは強烈なFKで相手をひやりとさせる場面も。ゴール前への迫力では決して、クロアチアに劣っては見えなかった。 サウジアラビアがアルゼンチンを破った前日の大番狂わせは、モロッコにも勇気を与えた。「サッカーは世界のみんなのものだと示した。そこにヒエラルキーはない」とレグラギ監督。白星こそ獲得できなかったが、前回の準優勝チームを相手に堂々とした戦いぶりだった。 前回3位のベルギーも同居するF組を、指揮官は「死のグループ」と位置付ける。まずは及第点といえる勝ち点1を手にし、次戦でも強豪ベルギーに真っ向から挑む。 (アルホル時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕前半、ゴールを狙うモロッコのジエシュ(中央)=23日、アルホル(EPA時事)