相撲巧者を寄せ付けなかった。錦富士が初顔合わせの遠藤を退けて3勝目。新入幕から2場所連続で10勝を挙げている新星が、ベテランを圧倒した。 遠藤の取り口を、錦富士は「お手本のような力士で参考にしてきた」。ずっと憧れてきただけに、相手の得意な形はしっかりと頭に入っていた。「上手を先に引かせない」。頭から当たり、激しい突き押しでまわしを遠ざけるように攻め、土俵の外へ追いやった。 前日は佐田の海に引き落とされて初黒星を喫した。だが、これも思い切り踏み込んだ結果。伊勢ケ浜部屋付きの安治川親方(元関脇安美錦)からは「勝ち負けを気にしていたら、当たれるものも当たれない」との言葉をもらっていた。背中を押され、会心の相撲を披露できた。 先場所は終盤まで優勝争いに絡んだ。大関貴景勝にも挑戦した。敗れはしたものの、貴重な経験を得て「刺激になった」。強敵との対戦を成長の糧にし、勢いを増す26歳。早くも勝ちっ放しが消えた混戦模様の場所を、面白くさせる存在となるか。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕錦富士(右)は突き出しで遠藤を下す=16日、福岡国際センター