サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会は20日に開幕する。1次リーグA~H組を展望した。 ◇カタール旋風なるか 【A組】2大会ぶりの出場となるオランダが、戦力で頭一つ抜けている。初出場のカタールが入ったこともあり、いずれのカードもW杯で初対戦という唯一の組となった。 オランダは今大会後に退任する名将ファンハール監督の下、3バックの戦術が板についてきた。世界屈指のセンターバック、ファンダイクが要となるDF陣の顔触れは豪華。F・デヨングが攻守のかじ取り役を担い、決定力のある前線のデパイらを生かす。 オランダを脅かすのがアフリカ王者セネガル。GKのE・メンディやクリバリが支える守備は堅く、地力は十分。8強入りした2002年日韓大会のように大暴れをする可能性を秘める。身体能力に優れる攻撃陣も魅力だが、今月に右脚を負傷した大黒柱マネの回復具合は気掛かりだ。 カタールは旋風を起こせるか。自国開催に向けて国を挙げた強化に取り組み、スペイン流の育成で若手を伸ばしてきた。開催国の活躍は大会の盛り上げに影響する。エクアドルとの開幕戦が試金石となる。 エクアドルは出場資格をめぐる騒動が一段落した。20歳のインカピエ、エストゥピニャンが起点となる左サイドからの攻めは鋭い。堅守速攻を生かして格上をどれだけ苦しめられるか。 ◇イングランド不安も 【B組】前回4強のイングランドは昨夏の欧州選手権で準優勝。欧州予選は8勝2分けの無敗で突破した。順当ならB組の中心となるが、今年に入って元気がない。6、9月の欧州ネーションズリーグではハンガリーに2敗。ドイツ、イタリアにも勝てず、白星のないまま下部リーグ降格が決まった。 ケーン、スターリングを擁する攻撃陣は強力だが、右サイドバックのウォーカーら人材豊富だったポジションで故障者が相次ぐなど、不安要素を抱えたまま開幕を迎える。 欧州予選プレーオフを勝ち抜き、64年ぶりに出場するウェールズはエース、ベールの調子がカギを握る。W杯史上初の「英国ダービー」となるイングランドとの最終戦は大一番。縦に速い攻撃で台風の目となれるか。 10、14年大会で16強の米国は2大会ぶりの出場。9月の国際親善試合では日本に0―2で敗れ不安を残したが、カナダ、メキシコと共催する次回大会に向け、弾みとなる結果を残したい。 アジア一番乗りで本大会出場を決めたイランは、予選後に直近2大会連続で指揮を執ったケイロス監督が復帰した。9月にはウルグアイを1―0で撃破。悲願の1次リーグ突破へ、勢いを持ってイングランドとの初戦に臨む。 (時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕1次リーグA組のキーマン。写真左からセネガルのマネ、カタールのハイドス、エクアドルのバレンシア、オランダのデパイ(AFP時事) 〔写真説明〕サッカーW杯1次リーグB組のキーマン。写真左からイランのアズムン、米国のプリシック、イングランドのケーン、ウェールズのベール(AFP時事)