プロ野球の日本シリーズはオリックスがヤクルトを4勝2敗1分けで破り、26年ぶり5度目の日本一に輝いた。2年連続同じ顔合わせとなった頂上決戦。劣勢をはね返し、昨年の雪辱を果たしたオリックスの勝因を探る。 ◇どよめいた継投 2敗1分けで迎えた第4戦。1点リードの五回だった。ここまでゼロを並べていた山岡が1死から塩見に三塁打を浴びたところで中嶋監督が動いた。150キロ台後半の直球とフォークが持ち味の宇田川にスイッチ。球場もどよめき、思い切った継投に見えたが「三振を取りにいける投手。その選択肢しかなかった」と言い切った。 7月に支配下登録された右腕は、2種類のフォークを操る。真ん中付近に落として三振を狙うものと、直球に近い球速と軌道でカウントを稼ぐもの。後者は捕手の松井から助言を受けてプロ入り後に磨き、欠かせぬ武器となった。 外野フライもバッテリーエラーも許されない場面。リードしていた若月は「後ろにそらすことよりも投げさせなかった時の後悔の方が大きい」と考え、強気にフォークを要求した。山崎、山田をともにフォークで理想通りの連続三振に仕留め、宇田川も「最後は自分の投球を貫くことができた」と胸を張った。 1―0の接戦を制し、チームはここから一気の4連勝。中嶋監督も日本一決定後、この場面を分岐点の一つに挙げ、若い救援陣の活躍を「抜てきはしたが、抑えたのは彼らの実力」とたたえた。 第4戦で回またぎをした宇田川と山崎颯は第5戦のメンバーから外してやりくりし、ワゲスパック、阿部、ベテランの比嘉、平野佳らもシーズン同様にチームを支えた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕日本シリーズ第4戦で力投するオリックスの宇田川=10月26日、京セラドーム