飛び込み女子の馬淵優佳(27)=ミキハウス=が今月上旬の日本選手権に7年ぶりに出場した。競泳男子の瀬戸大也(TEAM DAIYA)と結婚して一度は引退したが、昨夏の東京五輪後に現役復帰を決意。2024年パリ五輪に夫婦で出る夢へ一歩を踏み出した。 不安な仕上がりに「体力と集中力が持つかな」と気をもむほどだったが、さすがは元世界選手権代表。3メートル板飛び込みで決勝に進み、今年の世界選手権代表3人に次ぐ4位。榎本遼香(栃木県スポーツ協会)と組んだシンクロ板飛び込みでは、世界選手権銀メダルの三上紗也可(日体大)金戸凜(セントラルスポーツ)組に続く2位に入った。 ブランクは4年ほど。感覚を取り戻すため週5~6日、長い日には6時間も練習に打ち込んできた。まだ幼い2人の子どもに会えるのはせいぜい週2回。「娘たちに寂しい思いをさせている分、母親が頑張る姿を見せられたら」。自分たちの努力だけでは再び夢を追うことはできないことも分かっており、「周りのサポートがあってできている。何か結果として皆さまにお見せできたら」。そんな思いも胸に刻む。 パリ五輪で各国・地域に割り当てられる出場枠は最大で3メートル板飛び込みが2人、シンクロ板飛び込みは1組2人。「道のりは簡単じゃない」。国内の選考基準はまだ公表されていないが、シンクロは三上、金戸組が強力なライバルになりそうだ。 2年後を見据え、シンクロ板飛び込みで演技構成の難度を上げる試みも進めている。プールに背を向けて踏み切り、膝裏を抱えながら前屈姿勢で2回転半の前宙返りを行う技がその一つ。「まだまだ完成度が低い」とし、焦る気持ちを抑えて習得に励む。 夫婦で目指すパリへの道は平たんではないが、瀬戸が「かなったらすごい。自分もそこを目指す」と言えば、馬淵は「結果的に一緒に出られたら」。さまざまな困難を経て誓いを新たにした。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕女子1メートル板飛び込み表彰式で、笑顔を見せる優勝した馬淵優佳=7日、日環アリーナ栃木