強い雨脚で足元はぬかるむ。劣悪な環境の中、巨人の菅野は大きく息を吐いた。1点リードの四回に味方の拙守が絡み無死二、三塁。「何とか粘ろう。1点もやらない」。ゴロもフライも怖い場面。大和の内角を突いて空振り三振を奪うと、後続も冷静に仕留めた。 右肘の違和感による離脱から13日ぶりの登板。本調子でなくとも要所でさえた。六回無死二塁からは三つのアウトを三振で取り、右手でグラブをたたく。「ここがゼロなら勝利に近づくと確信していた」。連敗を5で止める6回1失点だった。 チームの苦境を救った。自身に加え、坂本と吉川も離脱。過去10試合で1勝9敗の泥沼に陥り、一時は首位から4位に転落。「みんな前向きに戦っている。連敗を止めたい」と菅野。好調時の映像と実際の動きをすり合わせるなど調整に励み、この日に備えてきた。 自身3週間ぶりの4勝目。「気負うことなくチームを鼓舞したかった」と話すエースが示したのは、低調でも我慢してしのぐ姿。原監督が「呼び水にしたい」と褒めた粘りの1勝は、連勝に結びつけてこそ価値がある。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕力投する巨人先発の菅野=12日、横浜