最後の打者を空振り三振に仕留めると、大阪桐蔭の川原は強く拳を握った。初戦突破に導く1失点完投。「勝利に結び付く投球ができて良かった」。背番号10は充実感をにじませた。 昨夏の甲子園での苦い記憶がバネになった。近江との2回戦で決勝点を許して敗退。秋の大会では、1学年下の前田が活躍した。川原は「上級生の意地もある。自分たちの代が、率先して引っ張っていこう」。巻き返しを期し、冬は西谷監督が認めるほどの努力を重ねた。 たくましさを増した川原は、140キロ前後の直球にカットボール、さらに緩いカーブを組み合わせて鳴門打線を翻弄(ほんろう)。失点した七回以外は三塁を踏ませなかった。打線も1点差に迫られた八回、星子主将のスクイズで突き放す。投打で隙のなさを存分に見せつけた。 春は4年ぶりの初戦突破。明治神宮大会を制して優勝候補の一角に挙げられるが、星子主将は「1点でも多ければ勝ち。そういう気持ちでやっていく」と自然体を強調する。今大会と同じく、1回戦の最後に登場した2017年は全国制覇。翌年は連覇を果たした。高校球界屈指の強豪が勢いに乗りそうだ。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕力投する大阪桐蔭先発の川原=24日、甲子園