プロ野球は25日にセ、パ両リーグが開幕する。新型コロナウイルスの流行が依然続くが、各チームとも通常通り143試合を行い、3年ぶりに延長十二回制を実施する。各球団がキャンプ、オープン戦を通じてつくり上げた戦力や課題を分析した。  ◇ヤクルト、連覇へ打線充実  【ヤクルト】20年ぶりの日本一に輝いた昨季から大きな戦力補強はないが、12球団トップの625得点をマークした攻撃力は健在。3番山田、4番村上を軸に、オスナ、サンタナの両外国人が厚みを加える。切れ目のない打線が今年もチームの大きな武器になる。  連覇のカギを握るのは先発投手陣。昨季9勝の奥川に、規定投球回到達と2桁勝利の期待がかかる。経験のある小川と石川の活躍も不可欠。さらに高橋、原が計算できる投手に成長すれば頼もしい。救援陣は清水、石山、今野、抑えのマクガフと充実している。  オープン戦は投打とも振るわなかった。控えの層が薄いのは不安材料で、長岡や浜田ら若手の台頭が待たれる。不調やけがで主力が離脱したときに、王者の底力が試されそうだ。  ◇阪神、救援の再整備必要  【阪神】昨季は終盤まで優勝争いを繰り広げたが、2位に終わった。2年連続セーブ王のスアレスが抜けた穴は大きく、救援陣を再整備できなけば17年ぶりのリーグ優勝は見えてこない。  救援で計算が立つのは岩崎ぐらい。新外国人ケラーは期待通りに抑えの役割を果たせるか。実績の少ない湯浅や小野の成長も不可欠だ。  先発陣は昨季2冠の青柳、秋山、西勇らを擁して層が厚い。藤浪が復活すれば心強い。  打線のカギを握るのは、新人だった昨季に24本塁打を放ち、今季は4番を担う佐藤輝。オープン戦では課題だった確実性に向上が見られたが、さらなる飛躍を遂げられるか。1番の近本はキャンプから順調。けがで調整が遅れた中野が調子を取り戻せれば、2人の機動力は大きな武器になる。  ◇巨人、投打に懸念も  【巨人】選手層は厚いが、投打に懸念材料を残すのが実情。2年ぶりのリーグ優勝には若手や中堅の台頭が欠かせない。  先発投手では昨季6勝に終わった菅野の復活は不可欠。山口、メルセデスには長い回を投げる粘りが求められる。昨季11勝で勝ち頭の高橋、9勝の戸郷の調子が上がらない中、シューメーカーら新外国人が支えられるか。堀田や山崎伊、新人の赤星(日大)ら若手が食い込めれば幅は広がる。中継ぎの中川は開幕に間に合うか微妙な状況だ。  打線は本塁打と打点で2冠の岡本和が軸。中田もオープン戦で好調を維持した。波が目立った坂本と丸の働きが安定すれば、課題だったつながり不足の解消にめどが立つ。ポランコがパワーを発揮できれば頼もしい。1番打者は固定できておらず、松原らの奮起が必要。  ◇広島、否めぬ得点力不足  【広島】昨季4番で首位打者の鈴木を欠いた打線の得点力不足は否めない。投手陣がどれだけカバーできるかがカギとなりそうだ。  鈴木に次ぐ打率3割1分5厘をマークした坂倉は故障で、西川が新型コロナウイルス感染の影響で出遅れたが、菊池涼や松山らは健在。ただ、「新4番」は固定できておらず、日替わりの打順となりそう。長打力のある新人の末包(大阪ガス)や、オープン戦で中軸を任された遊撃の小園ら若手が起爆剤となれるか。  先発陣は大瀬良、森下、13勝の九里を軸に、左の床田、玉村らと駒はそろう。昨季、抑えの栗林につなぐ勝ちパターンの確立に苦しんだ救援陣は、中崎や島内らの奮起が欠かせない。黒原(関学大)と松本(ホンダ鈴鹿)の新人も加わり、新方程式を探る。  ◇中日は打線の出来次第  【中日】5位に終わった昨季から補強はほとんどなく、立浪新監督の下で秋季キャンプから全体のレベルアップを図ってきた。投手力はあるだけに、打撃陣の出来がシーズンの行方を左右する。  昨季は多くの主力が打撃不振に陥り、本塁打や総得点が12球団ワーストだった。高橋周や阿部らは打撃フォームを見直し、復活を期している。高卒3年目の石川昂や新人の鵜飼(駒大)ら若手の長距離砲も面白い存在。オープン戦好調の岡林はレギュラーに定着できるか。  両リーグ1位の防御率を誇った投手陣は健在。先発は大野雄、柳、小笠原が3本柱。19歳の高橋宏は急成長を遂げており、ローテーション入りが現実味を帯びている。中継ぎは又吉がフリーエージェント(FA)で抜けたが、人的補償で加入した岩崎らでカバーできるだろう。  ◇DeNAは先発陣に不安  【DeNA】最下位からの巻き返しを期すが、昨季に続いて先発投手陣の駒不足は否めない。打線がどれだけ援護できるかが浮上のカギになる。  野手では、ルーキーイヤーの昨年、打率3割1分4厘をマークした牧がオープン戦で好調を維持している。ソト、オースティンに加え、昨年3割を打った宮崎と桑原が健在。けがで出遅れている佐野も復帰し、戦える布陣になった。穴となっている遊撃は、柴田、大和、森らで埋める。  先発投手は大貫、東、ロメロが順調に仕上がったが、エース今永が故障で開幕に間に合わない。3年目の坂本、実績のある石田、浜口の奮起が求められる。救援陣は砂田、三上、エスコバーに、抑えを争う三嶋、山崎ら、駒は豊富。中継ぎに転向する2年目の入江も成長を見せたい。 (了) 【時事通信社】
情報提供元: 時事通信社
記事名:「 2022プロ野球、12球団戦力分析=セ・リーグ