浮き沈みを経て、坂本が迎えた2度目の五輪。SPはROCの強豪3人と同じ組で「空気が全然違う。怖くて、本番前も震えが止まらなかった」。不安をはねのけ、最終滑走でミスなく滑り切ると、中野園子コーチに抱かれて涙。大舞台で自己ベストを2点以上更新し、80点に迫るハイスコアをたたき出した。 2018年平昌五輪はシニア1年目の17歳。勢いのまま、当時は2枠だった女子の五輪切符をつかみ、6位入賞を果たした。年末には全日本選手権を初制覇するなど躍進は続いた。一気に達成感が増したことで「燃え尽きてしまった」。翌シーズンは練習量が減り、全日本で6位に沈むなど不振に陥った。 「スケート人生は終わっちゃったかなと。上がる気配がなかった」と振り返る状況から、意を決して復活した。新型コロナウイルス禍の自粛期間には徹底的に体を鍛え直した。成果は演技終盤までスピードが持続されるスタミナ、世界トップクラスの評価を受けるスケーティング技術などに表れた。昨年末には3年ぶりの全日本制覇を遂げた。 平昌では団体後に強い緊張感に襲われ、一時滑れなくなるほどの腹痛に見舞われた。今回は団体のフリーで好演した後も、順調に過ごすことができた。ただがむしゃらだった4年前とは違う。表彰台を見据える北京は、SP3位で勝負のフリーへ。「最後の最後まで集中して、この4年間頑張ってきた成果を出し切りたい」と誓った。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕フィギュアスケートの女子SPで演技する坂本花織=15日、北京 〔写真説明〕フィギュアスケートの女子SPで演技する坂本花織=15日、北京 〔写真説明〕フィギュアスケート女子SPで演技する坂本花織=15日、北京 〔写真説明〕フィギュアスケート女子SPを終え、目を潤ませる坂本花織=15日、北京