社内コミュニケーションの不足が引き起こす問題とは?対処法や理由を解説
社内のコミュニケーションが不足すると、企業にとってどのような問題が起こるのでしょうか? IT化が進んだ現在、社内でのコミュニケーション方法は多様化しています。
時代に合わせたコミュニケーションを模索し、それを実行していくことは企業が生き残るうえで非常に重要です。
今回の記事では、社内のコミュニケーションが不足することによって起こり得る問題や、不足してしまう理由、社内コミュニケーションを活性化させる方法について紹介します。
社内のコミュニケーション不足に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
社内コミュニケーションが不足してしまう4つの理由
社内のコミュニケーションが不足してしまう理由は、企業によってさまざまです。制度や体制の変更が原因となっている場合もあれば、社風を端に発しているケースもあります。さまざまな理由の中から、代表的なものを4つ抜粋して紹介します。
①IT化による対面機会の減少
1つ目は、IT化が進められたことによる対面機会の減少です。近年、IT技術の進化は目を見張るものがあり、それは消費者だけでなくビジネスの世界にも影響を及ぼしています。
グループウェアやチャットツールといったITツールを導入する企業が増え、クラウド上で情報のやり取りを完結させるような働き方が一般化してきました。
これまで対面で行われていたやり取りがネットワーク上から行えるようになり、以前と比べて対面して仕事を進める機会は減少しています。
書類の受け渡しや業務連絡を行う場所が対面からネットワークに変わったことで、気軽な会話やちょっとした相談といったコミュニケーションが行いづらくなりました。
業務のIT化が、社内コミュニケーションの機会を減少させるひとつの要因となっています。
②コミュニケーションを重視しない社風
2つ目は、コミュニケーションを重視しない社風の影響で、社内のコミュニケーションが活発化しないといったパターンです。
社風とは、企業がこれまでの歴史の中で培ってきた文化や価値観を指します。社風は、企業理念や働いている人たちの行動・考え方によって変化するものです。
家族のように和気藹々とした社風の企業もあれば、上昇志向が強く社内であっても競い合う雰囲気の社風の企業もあるでしょう。
中には、コミュニケーションをあまり重視しない社風の企業もあります。そういった場合、やはり社内のコミュニケーションは活発化しづらく、不足状態になりやすいといえるでしょう。
③対面機会が少ない構造の社屋
3つ目は、社屋の構造が対面機会を少なくするような設計であることです。社屋の構造は、人の流れを作ることに関与し、社内のコミュニケーションに大きな影響を与えます。
社屋の構造が従業員同士の接触を遮るような設計となっていた場合、社内のコミュニケーションは活発化しづらくなるでしょう。
例えば、部署ごとにフロアが分かれていた場合、部署内のコミュニケーションは活性化しやすいですが、接触機会が少ないせいで部署間のコミュニケーションは活性化しづらくなります。
このように社屋の構造が対面機会を減少させている場合、社内のコミュニケーションは不足しやすくなるでしょう。
④部門や事業所で縦割り意識が強い
4つ目は、部門や事業所の中で縦割りの意識が強いことです。この場合、それぞれの内部では活発にコミュニケーションが行われますが、他部門など「横の関係」とのコミュニケーションは重視されづらく、関係値が希薄化しやすくなります。
自分が所属している組織(部門や事業所といった単位)への帰属意識が強くなりすぎて、本来は仲間であるはずの他部門・他事業所を「敵」のように感じてしまっている場合もあるでしょう。
このように部門や事業所の中で縦割りの意識が強い場合、社内のコミュニケーションが一定の範囲に止まってしまい、会社全体のコミュニケーションが不足の状態に陥る可能性があります。
社内コミュニケーションの不足が引き起こす問題
社内のコミュニケーションが不足すると、企業にとってさまざまな問題が起こります。適切な対処を行うためにも、起こり得る問題を把握しておくことは重要です。問題の中でも代表的なものをいくつか抜粋して紹介します。
人間関係が悪化し離職率上昇
社内のコミュニケーションが不足すると、人間関係の悪化を招く恐れがあります。相手の考えていることや思っていることがわかりづらくなり、それが不信感や孤独感に繋がってしまうからです。
人間関係を理由に退職する労働者は数多くいます。若者の場合は特にそれが顕著です。
厚生労働省によって実施された「平成30年若年者雇用実態調査の概況」では、「初めて勤務した会社をやめた理由」として、「人間関係がよくなかった」を挙げている人は26.9%にのぼります(※1)。
このように人間関係が悪化すると退職を考える人が多くなり、離職率の上昇に繋がります。
作業効率の低下
社内のコミュニケーションが不足すると、作業効率にも悪影響を及ぼします。正しい情報伝達がなされないことで関係者の間で認識の齟齬や共有漏れが発生してしまい、作業の差し戻しやミスの増加を招く恐れがあるからです。
また、仕事を一人で抱え込む社員が増えることで、業務が属人化してしまう可能性も高まるでしょう。業務が属人化すると、担当者が休んだときに仕事を進められないなどの問題が発生します。
このように、社内のコミュニケーションが不足すると、情報伝達のミスや業務の属人化によって作業効率が低下してしまう恐れがあります。
品質低下による顧客離れ
社内のコミュニケーションが不足すると、サービスの品質低下による顧客離れといった問題が発生する恐れがあります。
サービスの品質を維持するためには、従業員同士がしっかりと連携を取り、適切な情報共有を行うことが重要です。
社内のコミュニケーションが不足している状態だと情報共有の質が低下し、各社員が必要な情報をキャッチアップできなくなります。社員同士の意思疎通ができていないせいで、顧客に迷惑をかけてしまう可能性もあるでしょう。
具体的には、営業とアフターフォロー担当の間で顧客情報が共有されておらず、適切なフォローアップができなかったり、納期変更の連絡がチームに行き渡っておらず、一部の作業が遅れてしまったりなどの問題が発生する恐れがあります。
社内コミュニケーションが不足すると社員同士の連携が弱体化し、それによってサービスの品質が低下するため、結果的に顧客が離れていってしまう可能性があるのです。
深刻なコンプライアンス違反の発生
社内のコミュニケーションが不足すると、深刻なコンプライアンス違反が発生してしまう恐れがあります。
人間関係が希薄な状態だと、従業員はミスや失敗を報告することに対してハードルの高さを感じ、人によってはその事実を隠蔽してしまいます。
初めのうちは小さなもので済みますが、コミュニケーションの状況が改善されないと、次第に規模が大きくなっていき、いずれは上司や管理者が知らないところで重大なミスが発生してしまうこともあり得るでしょう。
社内のコミュニケーションを活性化させる5つの方法
ここまで、社内のコミュニケーション不足によって、企業にとってさまざまな問題が起こることを説明してきました。ここからは、そうならないために、社内のコミュニケーションを活性化させる方法について解説していきます。
社内のコミュニケーション活性化に役立つ、5つの方法を紹介します。
①コミュニケーションの機会を制度化して設ける
1つ目は、コミュニケーションの機会を制度化して設けることです。制度化するとは、会社側が、「従業員同士のコミュニケーション機会を意図的に用意すること」を意味します。
日々の業務が忙しいと、無意識のうちにコミュニケーションの量は減っていきます。そういった状況では、コミュニケーションよりも業務に時間を使いたいと考える従業員も多いでしょう。
こういった場合においても、コミュニケーションの機会を会社側が用意することで、一定のコミュニケーション量を確保することができます。
具体的な施策としては、ランダムに選ばれた人たちで昼食に行く「シャッフルランチ」や、全社員参加の催し物を開催する「社内イベント」などが挙げられます。
また、会社の制度として実施すれば、業務に追われている従業員も「仕事の一環」として気兼ねなく参加することができるのです。
半ば強制的な形ではありますが、こういった施策を実施することで、「会社としてコミュニケーションの活性化に力をいれていること」が従業員にも伝わります。
コミュニケーションの活性化は、従業員にとっても職場環境の改善に繋がる重要なポイントです。「会社として改善に取り組んでいること」を従業員に伝えることで、組織力の向上にも効果を発揮するでしょう。
このように、会社側がコミュニケーションの機会を制度として設けることで、忙しい従業員にあっても一定のコミュニケーション量を保つことができ、ひいては組織力の向上も見込むことができます。
②上司が話しかけやすい雰囲気を作る
2つ目は、上司が率先して話しかけやすい雰囲気を作ることです。ここでいう上司とは、役職者や経営管理層のことを指します。
一般社員から上層部の人たちに話しかけることは、それぞれの関係値にもよりますが、そう気軽に行えるものではないでしょう。
上司の立場にある人たちから、率先して話しかけやすい雰囲気を作ることで、一般社員も話しかけやすくなります。
縦のコミュニケーションはもちろん、話しかけやすい空気感の職場になることで、同僚といった「横のコミュニケーション」も活性化が見込めるでしょう。
③ナナメの関係を作れるようにする
3つ目は、ナナメの関係を作れるようにすることです。ナナメの関係とは、他部門の人たちとの交流を指します。
上司と部下の関係をあらわす「縦」、同僚同士の関係をあらわす「横」に加えて、他部門との関係をあらわす「ナナメ」のコミュニケーションを取れるようになれば、組織全体のコミュニケーション活性化が期待できます。
具体的な方法としては、先ほど挙げた「社内イベント」や「部門を超えた研修」の実施が挙げられます。
これらの施策を実施するうえでのポイントは、他部門の従業員同士がコミュニケーションを図れる仕組みを作ることです。
レクリエーションのチーム分けや研修参加人員の決定を会社側で設定し、必然的に他部門の従業員同士が交流できるような組み合わせを作ります。
④オフィスレイアウトを変更する
4つ目は、オフィスレイアウトを変更することです。オフィスのレイアウトを従業員同士が交流しやすいような設計に変えることで、社内コミュニケーションの活性化を図ることができます。
具体的な施策としては、フリーアドレスの導入やカフェスペース・ミーティングスペースの設置などが挙げられます。
オフィス上の部門や部署といった枠が取り払われ、全従業員が自由なコミュニケーションを取れるようになるでしょう。
⑤コミュニケーションツールを導入する
5つ目は、コミュニケーションツールを導入することです。ここでいうコミュニケーションツールとは、社内のコミュニケーション活性化を目的に作られた、ビジネス用ツールのことを指します。
世の中には数多くのコミュニケーションツールが存在します。自社に合ったコミュニケーションツールを導入することで、社内のコミュニケーション活性化が期待できるでしょう。
具体的なツールの種類については、次のセクションで紹介します。コミュニケーションツールに関心のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
社内コミュニケーションの不足に役立つツール
ビジネス用のコミュニケーションツールを導入することで、社内のコミュニケーション活性化を期待できます。代表的なコミュニケーションツールとして、「社内SNS」「ビジネスチャット」の2つを紹介します。
社内SNS
社内SNSとは、個人向けSNSをビジネス用に機能強化したものです。プライベートでFacebookやLINEといったSNSを利用したことがある人も多いのではないでしょうか。社内SNSは、それらを仕事で使えるようにカスタマイズした業務用ツールといえます。
具体的な機能としては、全社的な情報共有や双方向のコミュニケーションに活用できる「タイムライン投稿」や、1対1でコミュニケーションを行える「メッセージの送受信」といった機能を備えています。
社内SNSを活用することで、従業員同士だけでなく、会社と従業員の間でもコミュニケーションが活性化され、結果的に会社全体のコミュニケーション改善が見込めるでしょう。
>>社内SNSサービス主要10選!失敗を防ぐ導入のポイントも解説
ビジネスチャット
ビジネスチャットとは、業務利用を目的に開発されたコミュニケーションツールです。チャット形式で手軽に連絡を取り合うことができ、メールよりも気軽に扱えるコミュニケーションツールとして多くの企業が導入を実施しています。
また、1対1のコミュニケーションはもちろん、「グループチャット」や「掲示板」などの機能を活用することで、「1対多数」のコミュニケーションも活性化も期待できます。
さらに、ビジネスチャットを導入することで、「BYOD(個人が所有している端末を業務に利用すること)」を実践できるようになることもポイントです。
例えば、メールアドレスの付与や社用端末の貸与を一部の従業員に限定して行っている場合、コミュニケーションの範囲は「そのツールを使える人たち」に止まります。
その点、ビジネスチャットはマルチデバイスに対応しているため、メールアドレスや社用端末を持たない人たちも、アプリをインストールできるデバイスさえ持っていれば、同じようにコミュニケーションを図れるようになるのです。
加えて、ビジネスチャットは業務利用を目的に設計されているため、セキュリティに関する機能が充実しています。
BYODの実施において懸念となりやすいセキュリティリスクの問題も、ビジネスチャットであれば問題なく解消できるでしょう。会社側がアプリを用意し管理することで、シャドーITへの対策にも効果を発揮します。
>>【比較】国内主要ビジネスチャット5選!導入メリットや選び方も解説
社内コミュニケーションの不足を解消して組織力を強化
いかがでしょうか。社内コミュニケーションの不足について、不足してしまう理由や不足することによって起こり得る問題、社内コミュニケーションを活性化する方法などの情報を紹介しました。
社内のコミュニケーションは不足するとさまざまな問題を引き起こします。適切に対策を講じて、社内コミュニケーションの活性化に努めましょう。