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そもそも情報共有とは、必要な情報を同僚や上司、あるいはクライアントに取捨選択のうえ伝え、意思決定や合意形成を進める行動です。日々のたわいのないコミュニケーションも、ビジネス的な側面から見れば情報共有のための活動ということができ、どれくらい有益な情報を提供できるか、あるいは引き出せるかが重視されています。
情報共有のビジネスとしての側面を重視する場合、ポイントとなるのが情報を共有するスピードや情報の取捨選択です。漠然と情報を伝えたり、情報を流し聞きしたりするのではなく、必要な情報を最小限の力で共有する力が求められます。
情報共有は個人のスキルによってそのクオリティが左右されますが、情報共有ツールを活用することでスキルの最大化を図ることが可能です。近年は多くの企業で情報共有に特化したツールの導入が進んでおり、メールや電話以外のコミュニケーション手段として浸透しています。
それでは、多くの企業がわざわざツールを導入してまで情報共有の改善に努めているのには、どのような理由があるのでしょうか。ここでは情報共有の改善が重視される背景についてご紹介します。
1つ目の理由は、働き方改革の推進です。リモートワークやワーケーション、フレックス制度の導入が各企業で進んだことで、コミュニケーションのあり方についても変容が進みました。
これまではオフィスワークに限定されていたのが、リモートワークが導入されたことでWeb会議が主流になったり、対面で質問やフィードバックを行う機会が失われ、非対面でのコミュニケーションが求められるようになったりという変化が生まれています。
働き方が変容し、社内での情報共有手段が対面以外に求められるようになったことで、各社では新たなコミュニケーションツールを導入するなどして、情報共有方法の刷新に取り組んでいます。
2つ目の理由は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の浸透です。最新のITツールを活用して業務のデジタル化を進めるDXの取り組みは、既存業務を大きく手助けするとともに、業務のあり方を刷新することにも繋がっています。
クラウドサービスを使った情報共有で業務を効率化したり、電子申請によって書類手続きを効率化したりと、従来なら対面で行っていた作業も全てPCやスマホから行えるようになりました。
コストや作業負担の大幅な削減が狙えるということで、大企業だけでなく中小企業でもDXの実現に向けた取り組みが盛んに行われています。
3つ目の理由は、サイバー攻撃の増加です。個人はもちろん、企業を標的としたサイバー攻撃は年々増加傾向にあり、その被害額も増えつつあります。
2022年に発表された調査によると、日本国内でサイバー犯罪の被害に遭った人の数は、過去1年間でおよそ1,620万人にのぼると推測されています。総被害額はおよそ320億円、この額は前年よりも100億円も増加しています。
参考:日本のサイバー犯罪被害額、前年より約100億円増加‐8割が「対策方法わからない」
特に企業が抱える機密情報や個人情報の価値は高く、ひとつの標的を狙うだけで多額の身代金やコストに見合ったデータを獲得できることから攻撃方法は巧妙化しており、企業の被害も増加しています。
サイバー攻撃の手口として、メールを使った不正プログラムのインストールも広く行われていることから、情報共有のあり方を見直し、外部からの脅威を排除するための取り組みが各社で求められています。
情報共有を改善するうえで、理解しておきたいのが以下2つの性質です。情報の性質を見極めたうえでの適切な対処が求められます。
フロー情報は、フロー(流れる)という意味の通り、日々大量に触れることになる短期的な情報を指します。毎日の天気予報の情報やニュースサイトに掲載される情報などは、フロー情報に分類されます。
フロー情報の特徴は、とにかく数が多いということです。1つ当たりのボリュームこそ大した量ではありませんが、毎日大量のフロー情報が発生するので、見逃してしまいやすい、あるいは見逃しても自身の生活や業務に大きな支障をきたさないものが多いです。
更新の頻度は非常に高く、ボリュームが少ないために拡散力もあることから、SNSでやりとりされる情報の多くはフロー情報に分類されるでしょう。
ただ、情報の数こそ多いものの、鮮度だけが取り柄という情報もフロー情報の中には多く、長期間保管しておく必要がなかったり、情報の精度が低く、後から出てきた最新情報に重要性や正確性が劣っていたりすることもあるので、劣化スピードが速い点も覚えておきましょう。
2つ目はストック情報です。ストック情報はフロー情報とは対照的に、1つあたりの情報のボリュームが非常に大きく、なおかつ情報の正確性に優れる質的に優れた情報を指します。製品マニュアルや研究報告書、その他個人情報などのデータベースは全てストック情報に分類され、長期にわたって保管しておくことで効果を発揮します。
フロー情報のような更新頻度でストック情報が流通することはなく、その数も少ないため、拡散性に劣るのが特徴です。ストック情報をうまく活用することで、情報の質を活かしたデータの分析や活用が実現できます。
情報に対する見方を改善し、情報共有のあり方を見直すことで、組織は以下の3つのメリットを享受できるようになります。
情報共有改善の1つ目のメリットは、ナレッジ共有による属人化の防止です。複雑な業務の場合、業務の効率は担当者の経験や能力に大きく左右されるため、その担当者がいなくなるとまともに業務を遂行できないというケースに陥ることは珍しくありません。
わかりやすい例としては営業活動が挙げられ、業界でのコネが広く、トークスキルに優れている人物は常に新しい案件を取得できますが、業界経験の浅い新人は人脈もスキルもないため、ベテランよりも必然的に成果は小さくなります。
このような特定のスキルを持った人物がいざ現場を離れてしまうと、新人だけに業務を任せることになり、コストに見合った営業効果を得ることはできません。
こういった事態を回避するうえで、情報共有体制の見直しは不可欠です。業務マニュアルやトークスクリプトといったナレッジを広く共有することで、新人でも一定のパフォーマンスを発揮することができます。
また、フィードバックも情報共有の円滑化によってスムーズに行われ、必要なアドバイスをすぐに届け、人材の育成に貢献します。
2つ目は、業務効率化による生産性向上です。これまで資料の共有や日報の送信に紙の書類やメールを使っていた場合、作成から確認、あるいは承認を受けるまでに多くの時間を費やすことが求められてきました。
最新のコミュニケーションツールの導入によって、これらの業務はクラウド上で迅速に行うことができます。承認が下りないために進められなかった業務もスピーディに実行できたり、ルーティンワークにかかる時間を削減してコア業務に集中したりすることができます。
3つ目は、社内コミュニケーションの活性化による組織力の強化です。情報共有の仕組みが効率化されることで、従来よりも主体的にコミュニケーションが行われるようになり、常に従業員の動きを把握しやすくなったり、迅速なチームワークを発揮できたりといった効果が得られます。
チームでの活動が活性化されるので、組織力を高めて効率の良い働き方を実現することに有効です。
情報共有が組織の中で適切に行われない要因としては、以下のような問題が挙げられます。
1つ目の要因は、ルールの問題です。情報共有に関するルールが明文化されておらず、各社員が好き勝手に連絡をとってしまい、結果的に確認漏れや返信の遅れなどのトラブルが発生する恐れがあります。
ルールを明確にし、一律化された環境でコミュニケーションをとることが求められます。
2つ目の問題は、メリットの認識が共有されていないことです。情報共有のルールを明文化しても、なぜそれが決められているのか、ルールを決めることでどんな利点があるのかを正しく理解していなければ、ルールに則った運用は期待できません。
事前研修やミーティングなどを通じて、情報共有のルール策定やシステム運用に伴うメリットを丁寧に説明し、社員の理解を獲得しましょう。
3つ目の要因はシステムが整っていないことです。どれだけ優れたルールが構築されていても、肝心のツールが整っていなければ、効率よく情報共有を行うことは難しいものです。自社の課題やニーズに合わせた情報共有ツールを活用し、スムーズな情報共有を実現しましょう。
情報共有を実施するうえでは、情報の性質に合わせたツール選びが必要です。ここでは2種類のツールをご紹介します。
情報のボリュームは小さく、とにかく更新頻度の高いフロー情報を扱う場合には、ビジネスチャットがおすすめです。日々のニュースの更新や進捗連絡などは社内独自のチャットツールを活用し、コミュニケーションの円滑化を促しましょう。
ボリュームがあり質の高い情報を共有したい場合には、社内Wikiの構築がおすすめです。自社独自のデータベースとしてWikiを立ち上げ、マニュアルやナレッジを蓄積しておくことで、困ったときに頼りになるデータベースとして活躍します。
ここまで、情報共有の重要性や最適なツールの活用方法についてご紹介してきました。最後にご紹介したいのが、弊社が提供しているビジネスチャットツール「WowTalk(ワウトーク)」です。フロー情報とストック情報の両方に対応できる利便性の高いサービスとなってます。
フロー情報はチャット機能を活用、ストック情報は共有(掲示板)機能によって共有を行えるので、情報の性質に応じて機能を使い分けることが可能です。
ご活用事例として、子ども向け事業を展開するフレーベル館では、WowTalkの導入によって1日あたり30分掛かっていた報告業務が5分まで短縮、スマホ一台でテキストから写真の共有まで幅広く対応できる利便性を発揮するなど、高い導入効果を実現しています。
1ヶ月に200枚もの日報が発生する同社も、ペーパーレス化と情報共有の一本化を進めることで現場や管理者の負担を大幅に解消することに成功しました。
一見すると効率化が難しい業務でも、ツールの使い方次第で大幅な効率化が実現するケースは珍しくありません。情報共有の効率化にお困りの際はお気軽にご相談ください。