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ワシントンでは、米国連邦債務上限の引き上げ法案を巡る動きが最終局面を迎えています。これまで債務上限問題が米国株の上値を抑えてきたとみられるだけに、この問題の解決は短期的な米国株高につながる公算が大きいとみられます。こうした動きが、グローバルに一時的な株高をもたらすとみられます。この局面では、米国株の上昇が日本株のそれを上回る公算が大きいと考えられます。
その後、債務上限問題の解決が金融市場に織り込まれた後は、米国株市場では、景気悪化の動きが強まるのに合わせて、ボラティリティーが比較的大きい動きになるとみられます。しかし、ある程度の景気悪化は材料として既に米国の株価におおむね織り込まれたと考えられることから、株価の大幅な下落は想定されず、株価はボックス圏内での動きが予想されます。こうした中、前節で挙げた8つの要因が日本株をサポートし続けるとみられることから、日本株は上下の振れを伴いながらも緩やかな上昇基調で推移し、米国株をやや上回るパフォーマンスを達成する可能性が高いと予想されます。
2023年末から2024年にかけては、欧米では景気への回復期待が強まる展開が予想され、それに合わせて株価が緩やかな上昇局面に入ることが見込まれます。この局面で日本株は2つのハードルに直面する公算が大きいと考えられます。一つは、内需が底堅く推移し、欧米景気の回復が視野に入ることで、日本銀行が2024年春に長短政策金利の引き上げに動く可能性が高い点です。これは企業の借り入れコストの増加とともに、円高につながるとみられます。今一つは、景況感の点では、先に改善している日本に欧米が追いついてくるとみられる点です。グローバルな景気回復期待の恩恵は日本株にも及ぶとみられることから、これら2つのハードルに直面しても日本株は緩やかな上昇基調を維持すると見込まれます。しかし、この局面では、欧米株ほどのパフォーマンスは期待しにくいと考えられます。
その一方、日本株のアップサイドリスクとしては、日本株をサポートする要因として前節で挙げた➄についての期待感が、2024年に相応の水準の賃上げが実施されることを受けて高まる場合が考えられます。日本が内需を軸として潜在成長率を向上させるとの期待が高まる場合には、金融引き締め措置を受けて為替レートが円高方向に振れたとしても、日本株の将来のリターンに対する期待は損なわれずにむしろ高まるとみられます。
最後に、日本株のリスクについては、今年後半以降、FRBによる利上げの影響や金融不安による貸し渋りが想定以上に顕在化し、米国経済が深刻な景気後退に陥るリスクが重要です。この場合、グローバル市場全体がリスク・オフの状況となって日本株も調整を余儀なくされるリスクが高まります。
木下 智夫
グローバル・マーケット・ ストラテジスト
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