体組成とMAFLDおよびNAFLDとの関連に関する検討では、年齢、骨格筋量(skeletal muscle mass index)、体脂肪量(fat mass index)、握力を含めた多変量解析を行い、体脂肪量がMAFLDおよびNAFLDを規定する独立因子であることが明らかとなりました。また、非肥満(BMI <25 kg/m2)の参加者305名を対象として同様の多変量解析を行ったところ、非肥満の参加者においても体脂肪量がMAFLDおよびNAFLDを規定する独立因子でした。このことから、日本人若年成人男性において体脂肪の蓄積は、新規概念であるMAFLDと既存概念であるNAFLDの両者を規定する重要な因子であることが明らかとなりました。また、非肥満の日本人若年成人男性においても、脂肪の蓄積がMAFLDおよびNAFLDの原因となることが明らかとなりました。これらの因子を用いた決定木解析やランダムフォレスト解析でも同様の解析結果でした。以上のことによりBMIでは正常体重と判定されるが、実際には脂肪が蓄積している「かくれ肥満」が若年成人男性の脂肪性肝疾患を規定する重要な因子であることがわかりました。 次に日常診療における体組成の簡易指標であるBMIの役割を明らかにするため、年齢、BMI、骨格筋量、体脂肪量、握力を含めて決定木解析を行いました。参加者全体ではMAFLDおよびNAFLDを規定する因子としてBMIが抽出され、日常診療における脂肪性肝疾患の簡易指標としてのBMIの有用性が明らかとなりました(図2a、2b)。また、非肥満の参加者では第一にBMI、第二に骨格筋量が抽出されました(図2c、2d)。このことからBMIは非肥満の対象者においてもMAFLDおよびNAFLDの簡易指標となり、脂肪蓄積に次いで骨格筋量が脂肪性肝疾患の病態に寄与していることが明らかとなりました。
表彰: 2017年度:第233回日本内科学会東海地方会 若手優秀演題賞 2017年度:第234回日本内科学会東海地方会 若手優秀演題賞 2018年度:第237回日本内科学会東海地方会 若手優秀演題賞 2019年度:第239回日本内科学会東海地方会 若手優秀演題賞 2021年度:JDDW2021 若手奨励賞 2022年度:JDDW2021 The Best Presenter Award in International Session 第26回日本病態栄養学会年次学術集会 若手研究特別賞