2022年11月1日
ステラケミファ株式会社
https://www.stella-chemifa.co.jp/

 当社は高純度薬品事業において培ってきた独自の表面処理技術を応用し、国立大学法人 信州大学 バイオメディカル研究所(齋藤直人教授、植村健准教授)との共同研究により、細胞培養容器を開発しましたのでお知らせいたします。

1 .研究の背景
 培養細胞は生化学的現象の解明、ワクチンなどに代表される有用な物質の生産、再生医療、薬剤評価など様々な分野で利用されております。再生医療周辺産業は市場拡大が見込まれており、細胞培養はこれらの産業を支える中核技術の一つとして、その重要性は増々高まっております(下図)。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210258723-O20-l05LZQKl
 

 培養細胞は、主にポリスチレンなどの樹脂製培養容器の底面に細胞を接着させ、培養培地の存在下で細胞を生育させます。
 接着性の培養細胞にとって、培養容器との接着性が細胞機能の発現に重要であることから、培養容器に対して親水化処理やコート処理等の表面処理を行い、細胞の接着性を向上させています。初代培養細胞など接着性が弱い細胞に対しては、細胞との親和性が高い細胞外マトリックス等をコートする方法が施されております。しかしながらコート作業に手間がかかるうえ、コート表面が均一ではないなどの問題がありました。

 また、培養細胞を培養する際には、培地に「血清」を添加します。血清は細胞に対する栄養源や接着因子の供給源として極めて重要ですが、血清自体が高価であることに加え、ロットによる成分の変動が大きいことや、汚染リスクの問題など、研究者にとって多くの不都合が生じております。このため、無血清や低血清条件下での培養が求められています。

2.研究の成果
 そこで、当社はこれまでに培ってきた表面処理技術を応用し、ユニークな表面処理技術を活用した細胞培養容器を開発しました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210258723-O15-NXl46FGz

 この細胞培養容器は培養基材の表面分子構造を改質して化学的に均一な培養表面を形成することで安定的な細胞接着性を付与できることを、信州大学との共同研究を通じて確認しました。また、表面処理条件を変えれば培養基材の表面構造を少しずつ変化させることが可能です。細胞種や培養目的に応じて処理条件をチューニングすることで、これまでに以下のような効果が確認されており、それぞれライフサイエンス研究分野の発展に貢献できるものと考えております。
 
(1)特別なコート処理を施さなくても初代培養細胞(神経細胞)が良好に培養できることを確認しました。(図1)
(2)市販品と比べ、低血清条件での培養に優れていることを確認しました。(図2)
(3)市販品と比べ、培養基材が長期安定性に優れていることを確認しました。(図3)

 
 
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210258723-O16-35L0jh3a
図1 開発した細胞培養容器で培養した大脳皮質初代神経細胞

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210258723-O17-8B3548Bp
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210258723-O18-d2L315tn
図2 BHK細胞で低血清培養した際の細胞核染色(血清濃度1%)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210258723-O19-f47J9WS1
図3 開発品の培養安定性
 市販品(親水化処理)と開発品をそれぞれ1ヵ月間大気暴露後、
 HEK293T細胞を播種・培養した時の生細胞数を比較

3.今後の予定
 お客様のニーズに応じた数種類の細胞培養容器を製品ラインナップとして展開する予定にしております。
  また、この表面処理技術は、ほぼすべての一般的な樹脂細胞培養基材に適用可能であり、汎用性の高い改質手法となります。昨今、世界中で再生医療や遺伝子治療など、細胞を活用した産業が立ち上がりつつあります。当社ではライフサイエンス産業での活用に向け、各種用途への適用性開拓や、更なる高機能培養基材の開発など、研究開発を推進していきます。

 開発した細胞培養容器は11月30日から12月2日まで幕張メッセにて開催される「第45回 日本分子生物学会 年会」の附設展示コーナーにおいて展示をいたします。

【展示会概要】

第 45 回 日本分子生物学会 年会 附設展示会
会 期 : 2022 年 11 月 30 日(水)~ 12 月2 日(金)
会 場 : 幕張メッセ

 
<用語解説>

・再生医療周辺産業
 再生医療の臨床応用やそれらの基礎研究をサポートする製品またはサービスを提供する産業。細胞培養容器・培地などの消耗品、細胞培養装置、細胞培養加工受託・輸送サービス等が含まれる。

・初代培養細胞
 生体組織や器官から直接取り出した細胞。一般的に初代培養細胞は生体内に近い状態を維持していると  考えられており、様々な研究に用いられているが、安定的な性質を持つ細胞株と比べて維持管理が難しい。

・細胞外マトリックス
 全ての組織、臓器中に存在する非細胞性の構成成分である。細胞-基質接着における足場の役割を担っており、培養容器のコーティング剤として汎用されている。(例:コラーゲンやフィブロネクチン)

・大脳皮質初代神経細胞
 マウス胎児の大脳皮質から採取した初代培養細胞。神経科学分野の研究で用いられる。

・BHK細胞
 シリアンハムスター腎由来の細胞株。組換えタンパクや抗体の生産などに用いられることが多い。

・HEK293T細胞
 ヒト胎児腎由来の細胞株。組換えタンパクの生産など分子生物学的な実験で用いられることが多い。

【本件製品およびサンプル提供に関するお問い合わせ先】

ステラケミファ株式会社 研究開発部

TEL:0725‐21‐4912(2022年12月31日まで)
     072‐229‐3104(2023年1月1日以降)

Email:kenkyu@stella-chemifa.co.jp

情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 細胞培養容器の新規開発およびサンプル提供開始について