日本初のAI特化大学院研究科とIT企業が共同研究の新スキーム確立を目指す



2020年4月27日

立教大学

株式会社ビズリーチ



立教大学とビズリーチがAIの社会実装を目的とした産学連携 日本初のAI特化大学院研究科とIT企業が共同研究の新スキーム確立を目指す 第1弾として定性情報「人の価値観」の研究を開始



立教大学大学院人工知能科学研究科(所在地:東京都豊島区/研究科委員長:内山 泰伸)とVisionalグループの株式会社ビズリーチ(所在地:東京都渋谷区/代表取締役社長:多田 洋祐)は、AIの社会実装を目的とした共同研究協定を締結しました。2020年4月30日より、日本初のAIに特化した大学院である同研究科(修士課程、2020年4月開設)とビズリーチでの共同研究を開始します。

  

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202004239332-O9-H14y8xyE

【産学連携開始の背景】

■先端IT人材不足が深刻化するなか、政府はAI人材年間25万人の育成を掲げる

政府が掲げる「Society5.0」の実現には、AIなど最先端技術の活用が必要ですが、国内のAI人材は2030年に約12万人不足すると予想されています(注1)。そこで、政府は2019年6月に「AI戦略2019」を策定しました。全教育課程で新たに目標を設定し、2025年までに年間25万人のAI人材の育成を目指しています(注2)。



■立教大学が日本初のAI特化大学院研究科を開設、ビズリーチと共同研究を開始

立教大学は、教育現場改革だけでなく、ビジネスにおけるAIの活用が重要と考え、日本初のAIに特化した大学院「人工知能科学研究科」を4月に開設しました。基礎研究が中心であったこれまでの大学のAI研究とは異なり、産官学連携による、ビジネスなどとAI研究の接続強化が特徴であり、その一環でビズリーチと共同研究を開始します。自社にAI研究機関を持ち、ビジネスにおけるAI技術の活用実績があるビズリーチとの連携によって、より高度なAIを早期に社会実装することを目指します。



【本連携の特徴】

■AI先端技術のビジネス活用を世界水準で実現するため、新たなスキームの確立を目指す

 アメリカや中国、韓国、インドなどで急成長するIT企業では、さまざまな手法でAI先端技術のビジネス活用が行われており、技術革新が進んでいます。例えば、先端技術を研究する大学教授が経営するベンチャー企業と共同研究を行ったり、AI企業を買収したりといった活動も活発に行われています。一方、日本では、IT企業においても、データ収集・蓄積のための基盤構築が遅れているケースや、先端技術の知識や経験を持つ人材の不足によって、先端技術のビジネス活用が十分に進まず、イノベーション推進の妨げとなるケースが少なからず見られます。

そこで、立教大学とビズリーチは、この共同研究を通じ、大学の研究機関が有する先端AI技術を企業でビジネス活用するための新たなスキームを確立します。そしてこのスキームが、国内IT企業におけるAIのビジネス活用を促進させる一助となることを目指します。



<立教大学とビズリーチの共同研究を実現するスキーム>

スキームの特徴:AIの早期社会実装を実現する三要素

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202004239332-O5-29POST1e】 



1)大量かつ高品質なデータの収集と蓄積の基盤

ビズリーチでは、10年以上にわたり運営を続ける転職プラットフォーム「ビズリーチ」のデータを安全かつ円滑に利用できるよう、個人情報の仮名化やノイズ除去を行い、高品質なデータ基盤を構築してきました。これにより、AIの専門知識を有するAIグループが、データを即座に活用でき、機械学習モデルの構築が可能な環境が整備されています。



2)ビッグデータを扱うシステム構築やサービス開発の知見を持つエンジニア、およびコンピューター・サイエンスや理学分野の博士号取得者が在籍

ビズリーチの従業員の約3割は自社サービスのプロダクト開発を担うエンジニアです。ビズリーチのエンジニアは、研究および概念検証として作られたAIモデルを、再度大規模なデータで学習させ、実際にサービスとして提供し、顧客の反応を得て、さらに改善する反復の開発を高速に実施する経験を積んでいます。これにより、AIモデルを構想や試作にとどまらせず、ビジネスに着実に活用することが可能です。また、AIグループには、コンピューター・サイエンスや理学分野の博士号取得者も複数名在籍しており、国内学会への論文寄稿や国際学会での登壇実績もあります。大学との共同研究において、研究者との議論を円滑に進めながら、ソフトウエア技術者としての実装能力も兼ね備えた人材が共同研究の実務に携わることで、本研究による効果を最大化します。



3)AIの最先端研究を推進する人材

立教大学大学院人工知能科学研究科には、人工知能に関するさまざまな分野に強みを持つ教員が多数在籍し、最先端のAI研究を行うことが可能です。具体的には、深層学習をはじめとした機械学習や数理モデルに対する学術的な理解と、高度な情報科学や統計学の知識を持つ人材が集まっています。常に最新論文の理論を習得し、さらに、国際的な人脈を活用することで、まだ論文として公知化されていないアイデアや最先端の研究も課題の解決に生かすことが可能です。



【共同研究概要】

■共同研究の第1弾は、「キャリアにおける価値観」の発見

立教大学大学院人工知能科学研究科と株式会社ビズリーチは、共同研究の第1弾として、国内最大級の転職プラットフォームである「ビズリーチ」のデータを活用し、AIによる「キャリアにおける価値観」の発見を試みます。キャリアの選択の重要指標には、定量的に判断できる項目(年収、現業種・職種、勤務条件など)だけでなく、仕事のやりがいや社風など、個人ごとに持つ定性的な項目(「個人の価値観」)も挙げられます。本共同研究では、同研究科が注力する深層学習の先端研究を活用することで、これまで定量的に分析することが難しかった「キャリアにおける価値観」をAIにより解析します。これにより、「ビズリーチ」において、従来の方法とは異なる、新たな転職のあり方を実現し、世の中のキャリアの選択肢と可能性を広げ、サービスの体験向上を図ります。



本共同研究の成果は、個人会員へのサービス向上を目的とした情報提供や機能開発に活用することを想定しており、本共同研究においては、立教大学に対して、「ビズリーチ」の利用者から取得した個人情報の受け渡しは一切行いません。また、本共同研究におけるビズリーチ内でのデータ利用に関しては、「ビズリーチ」上での「利用規約、及び、個人情報の取り扱い」の公開・変更時の事前通達、およびサービス登録時のご案内を徹底することで、会員から許諾を得た範囲のみで利用するとともに、解析にあたっては、仮名化した会員データを用いることでセキュリティ面にも配慮いたします。



■自社にAI研究機関があることで、個人情報を保護した共同研究が可能に

本共同研究では、ビズリーチから立教大学に対して、「ビズリーチ」の利用者から取得した個人情報の受け渡しは一切行いません。

<個人情報を保護した研究手順>

(1)仮説の立案・データセットの作成(ビズリーチ・立教大学)

両者議論のうえ、課題解決のための仮説を立案。実験に必要なデータセット(機械学習アルゴリズムによる学習モデルの生成やその精度評価に用いるデータの集合体)を、公開情報やサービスデータから統計的に生成されるダミーデータを基に作成。

(2)理論の骨子を作成(立教大学)

深層学習などの手法を用い「キャリアにおける価値観」を抽出する実験を行い、理論の骨子を作成。

(3)仮名化データによる実験・結果の可視化(ビズリーチ)

立教大学が提案した理論や実験方法を基に、ビズリーチのAIグループが、仮名化された「ビズリーチ」会員の行動履歴(求人の閲覧や応募履歴)を用いて実験し、結果を可視化。

(4)再議論(ビズリーチ・立教大学)



(3)の結果をもって、ビズリーチと立教大学で再度議論。(1)〜(4)を短期間で繰り返すことで、早期の理論の確立、実用化を目指す。



■共同研究協定概要

1. 本協定の名称: 「人工知能分野等に関する包括的な教育研究協力についての協定」

2. 締結日: 2020年4月30日

3. 本協定の目的: 本協定は、ビジネスにおける人工知能の活用・社会実装を促進するため、人材交流、学生のキャリア開発、共同研究などの分野で産学連携を推進し、相互の発展と社会への貢献を目的とする。

4. 本協定の内容:

(1)人工知能技術の共同研究

(2)学生のキャリア開発

(3)共同研究における人材交流

(4)その他、産学連携に関して両者が必要と認める事項



(注1)首相官邸「未来投資戦略 2018―『Society 5.0』『データ駆動型社会』への変革―」、経済産業省「IT需給に関する調査(概要)」

(注2)内閣府「AI戦略2019~人・産業・地域・政府全てにAI~」



【立教大学大学院 人工知能科学研究科委員長 内山 泰伸 コメント】

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202004239332-O6-nusdUO32

立教大学に新設された人工知能科学研究科では、基礎研究の世界とビジネスの世界をシームレスにつなげることを目標の一つにして、積極的に産学連携を進めます。その一環として、ビジネスパーソンが「しごと」にどのような価値観を持つのか、株式会社ビズリーチが蓄積したビッグデータから Deep Learning の手法で引き出す共同研究を同社とスタートさせます。本共同研究で開発した AI が、本人も気づいていない価値観を見抜くことができれば、それはデジタル空間に素晴らしい知己を得たようなものと言え、基礎研究の社会還元となるでしょう。



【株式会社ビズリーチ 執行役員 CSO(Chief Strategy Officer) 枝廣 憲 コメント】

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202004239332-O7-nXxUJFDc

Visionalグループの株式会社ビズリーチでは、2016年にAIに特化した研究機関を立ち上げ、博士号取得者など高い技術力を持つメンバーが、各サービスを横断して研究開発を進めるとともに、事業で蓄積してきたデータを活用し、AI研究とビジネスの接続を強化してきました。それに加え、先端技術を究める立教大学と産学連携を行うことで、最先端技術とビジネスのさらなる接続を図り、キャリア選択においても新たな可能性を提供していきたいと考えております。また、このスキームを他の大学や企業にも広く知っていただくことで、日本におけるAI先端技術のビジネス活用が活発化し、イノベーションを生み出す後押しとなれば幸いです。



【立教大学大学院人工知能科学研究科について】参照URL:https://ai.rikkyo.ac.jp/

国内初となるAIに特化した大学院。人工知能・データサイエンスの知識や技術だけでなく、先端技術を活用してさまざまな社会課題の解決を実現するための実践力を育成する。平日夜間と土曜日を中心に授業を行うことで、社会人学生が通いやすい環境を整えている。



【株式会社ビズリーチについて】参照URL:https://www.bizreach.co.jp/

「すべての人が『自分の可能性』を信じられる社会をつくる」をミッションとし、2009年4月より、働き方の未来を支えるさまざまなインターネットサービスを運営。東京本社のほか、大阪、名古屋、福岡に拠点を持つ。即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」、人財活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」、挑戦する20代の転職サイト「キャリトレ」、OB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」を展開。2020年2月、グループ経営体制への移行にともなって誕生したVisionalグループにおいて、主にHRテック事業やクラウド事業を担う。 



【Visionalについて】参照URL:https://visional.inc

Visionalグループは、2020年2月、株式会社ビズリーチがグループ経営体制に移行したことにより誕生。「新しい可能性を、次々と。」をグループのミッションとし、「課題」を「新しい可能性」に変え、未来創りに貢献することを目指す。グループを構成する、HRテック事業やクラウド事業を運営する株式会社ビズリーチ、新規事業開発を担うビジョナル・インキュベーション株式会社、物流テック事業を運営するトラボックス株式会社などを通じて、ビジネスの生産性向上を支えるさまざまな事業を展開する。



情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 立教大学とビズリーチがAIの社会実装を目的とした産学連携