令和6年度税制改正における「住宅ローン控除」の変更点とポイントを解説

マイホームを購入した際、一定の要件を満たすことで所得税の住宅借入金等特別控除(通称:住宅ローン控除、住宅ローン減税)を適用することができます。

住宅ローン控除は適用要件や控除額の変更が多い特例制度で、令和6年度税制改正でも制度内容が一部改正されています。

そこで今回は、令和6年度税制改正において住宅ローン控除が変更したポイントについて解説します。

令和6年度税制改正における住宅ローンの変更点を解説します

住宅ローン控除の概要

住宅ローン控除は、ローンを組んでマイホームを購入した際に適用できる所得税の特例制度です。

要件を満たした場合には、借入金の額に控除率を乗じて算出した税額控除を所得税額から差し引くことができ、最長で13年に渡って適用することができます。

住宅ローン控除の額が納税者の所得税額を超える場合、所得税額を限度として差し引くことになりますが、所得税額から控除しきれない額については、個人住民税額から控除されます。

住宅ローン控除を適用する際は、確定申告手続きが必要です。

ただし、特例適用2年目以降は勤務先の年末調整で住宅ローン控除を受けられますので、医療費控除等を適用する予定がなければ、2年目以降は住宅ローン控除の適用のための確定申は原則不要です。

特例適用2年目以降は勤務先の年末調整で住宅ローン控除を受けられる

子育て世帯等・若者夫婦世帯の借入限度額の引き上げ

令和6年度税制改正では、子育て世帯等・若者夫婦世帯が住宅ローン控除を適用する際の借入限度額を引き上げる改正が行われました。

【令和6年に入居した場合の住宅ローン控除の借入限度額】

<新築・買取再販住宅の場合>

新築・買取再販住宅

借入限度額

子育て世帯等・若者夫婦世帯

子育て世帯等以外

長期優良住宅・低炭素住宅

5,000万円

4,500万円

ZEH水準省エネ住宅

4,500万円

3,500万円

省エネ基準適合住宅

4,000万円

3,000万円

その他の住宅

0円
(2,000万円)

0円
(2,000万円)

<既存住宅の場合>

既存住宅

借入限度額

長期優良住宅・低炭素住宅

ZEH水準省エネ住宅

省エネ基準適合住宅

3,000万円

その他の住宅

2,000万円

子育て世帯・若者夫婦世帯は、18歳以下の扶養親族を有する場合または、自身もしくは配偶者のいずれかが39歳以下に該当する場合をいいます。

(令和6年12月31日時点の現況で判断します。)

令和6年以降に新築の建築確認を受けた「その他の住宅」については、住宅ローン控除の対象外です。

ただし、令和5年末までに新築の建築確認を受けた住宅に令和6年に入居するときは、借入限度額2,000万円の住宅ローン控除を適用できます。

対象物件の面積要件の緩和

住宅ローン控除を適用する場合、建物の床面積は原則として50平方メートル以上でなければいけません。

しかし、令和6年末までに建築確認を受けた新築住宅の床面積要件については、納税者の合計所得金額が1,000万円以下である場合に限り、40平方メートル以上に緩和されます。

面積要件の緩和措置は令和5年12月31日までとなっていましたが、令和6年度税制改正で対象期間が令和6年12月31日まで延長します。

面積が狭くても住宅ローン控除を適用できる可能性がある

既に住宅ローン控除を適用している方への影響

令和5年までに入居し、令和5年分以前の所得税の確定申告において住宅ローン控除を適用している方は、令和6年以降も引き続き適用することができます。

ただし、令和6年度税制改正の変更事項は、令和6年分(令和7年分)の所得税の確定申告で住宅ローン控除をはじめて適用する方を対象とするため、既に住宅ローン控除を適用した方の借入限度額等は従前と同様です。

住宅ローン控除の基本的な要件に変更はないですが、借入限度額の上限などの改正部分には注意していただき、これから住宅ローン控除を適用する方は確定申告前に適用要件等をご確認ください。

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 令和6年度税制改正における「住宅ローン控除」の変更点とポイントを解説