- 週間ランキング
収入と所得の見積額がわからない方が「年末調整」の際に参考にすべき書類
国税当局は、富裕層に対する調査を重点項目の一つとして掲げています。
「富裕層」とは、有価証券・不動産等の大口所有者や経常的な所得が特に高額な個人、海外投資等を積極的に行っている個人などをいい、近年では保有資産の多様化・国際化が進んでいるのが特徴です。
一般層の納税者に対する所得税の実地調査では、1件当たり1,613 万円の申告漏れ所得金額が把握されています。
それに対し富裕層の1件当たりの申告漏れ所得金額は、一般層の納税者の2.3倍にあたる3,767万円と過去最高です。
また税務調査で指摘された際の追徴課税金額は、一般層が323万円なのに対し、富裕層は3.3倍の1,067万円です。
所得税は所得金額が多いほど税率は高くなるため、富裕層には一般層より重いペナルティが課されます。
令和3事務年度の暗号資産(仮想通貨)等取引を行っている個人に対する実地調査件数は444件と、前事務年度の432件に比べると僅かに増加しています。
調査件数は微増ですが、1件当たりの申告漏れ所得金額は前事務年度が2,456万円なのに対し、令和3事務年度は3,659万円と大幅増です。
1件当たりの追徴税額も1,194万円と、前事務年度の780万円より414万円増えていますので、仮想通貨取引で高額の利益を得ている人が増えている一方、申告を行わない納税者も存在するのが令和3事務年度の仮想通貨取引の現状です。
令和3事務年度において、事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が最も高額な業種は「経営コンサルタント」でした。
経営コンサルタントは前事務年度においても第7位にランクインしていましたので、高額な申告漏れの発生しやすい業種として、今後も国税当局からマークされることが考えられます。
反対に、申告所得漏れの多い業種ランキングで上位に入ることが多いキャバクラや風俗業などは、令和3事務年度においては上位10業種に入っていませんでした。
ランクインしなかったのは、新型コロナウィルスの影響で売上が伸び悩み、大きな利益を出せなかったことが要因の一つと推測されます。
Withコロナが定着し、コロナ流行以前のように夜の街が賑やかになれば売上も戻ると思われますが、確定申告を行っていなければ当然税務調査で指摘されます。
税金のごまかしは金額の大小に関係なく脱税となりますので、申告義務があるのにもかかわらず申告をしていない場合には、税務調査が入る前に申告手続きを済ませてください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
「103万超えてるけど、大丈夫だろ...」 マイナンバー制度で今年の年末調整はごまかせない 虚偽の申告が発覚するカラクリ
「年末調整」しないとどうなる? 手続きしなかった場合のデメリットを解説
【年末調整】年金受給しながら働いている会社員が前後で注意すべき点2つ