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不動産投資を検討している人の中には、中古区分マンションに興味を持っている方もいるかもしれない。しかし、いざ購入をする場合は「本当に中古区分マンションを購入してもいいのか」「何か注意点はあるのか」など疑問に思うことも多いのではないだろうか。そこで本記事の前半では区分マンションの特徴や中古と新築の違いを整理し、後半では中古区分マンションのメリット・デメリット、購入時のポイントについてくわしく解説していく。

本記事を読んで中古区分マンションの特徴を理解し、購入に向けて1歩踏み出してみよう。

目次

  1. 不動産投資の「区分マンション」と「1棟物件」の違いとは?
  2. <Appendix>1棟物件よりも区分マンションの投資に向いているタイプは?
  3. 区分マンション投資では新築・中古どちらを選択?新築・中古区分マンションのメリットとデメリット
  4. 中古区分マンションのメリット
  5. 中古区分マンションのデメリット
  6. 中古区分マンションを購入するときのポイント
  7. まとめ
  8. 中古区分マンション投資に関するQ&A

不動産投資の「区分マンション」と「1棟物件」の違いとは?

一口に不動産投資と言っても、さまざまな種類がある。ここでは、本記事のメインテーマである「中古区分マンション投資」のことをスムーズに理解するために、まずは代表的な種類である「区分マンション」と「1棟物件」の違いについて理解する必要がある。

1棟物件投資と比較した区分マンション投資の3つの特徴

1棟物件投資は、マンションやアパートの建物を丸ごと所有することを指し、区分マンション投資は、マンションの1戸部分の所有を指す。わかりやすく言えば、分譲マンションの「○号室」が区分である。1棟物件投資と比べたときの区分マンション投資の特徴は次の通りだ。

1.物件価格が割安な傾向
1棟物件の投資ではマンションやアパートのなどの建物を丸ごと所有するため、1棟物件の価格はおのずと高くなりやすい。そのため、1棟物件投資のオーナーは、資産を持っている人、高額所得者、専業大家などが中心となる。また、1棟物件は所有戸数が多くなりやすいため、業務を管理会社に委託した場合でもオーナーの業務負担がそれなりに発生する。

対して区分マンション投資は、1棟物件に比べ物件価格が低くなる傾向がある(ただし、一等地の高級マンションなどは除く)。そのため、不動産投資の初心者でもチャレンジしやすいと言われる。とくに中古区分マンションは新築よりも割安である。また、オーナーの管理業務の負担も小さい。

2.流動性が比較的高い
1棟物件はその価格の高さから買主が手を出しにくく販売に時間を要することが比較的多い。対して区分マンション投資は、分譲マンションの1戸ごとに販売され、価格が抑えられることから買主が比較的見つかりやすく流動性が高いと言えそうだ。そのため、区分マンション投資は、売却しやすさを意識している人に向いていると言える。

3.家賃収入ゼロリスクがある
区分マンション投資では所有している物件が1戸の場合、空室が発生すると家賃収入がゼロになってしまう。対して1棟物件投資の場合では賃貸需要がないなど余程の事情がない限り家賃収入がゼロになるリスクは低いと言える。

区分マンション投資と1棟物件投資の比較表

ここまでお話ししてきた区分マンション投資と1棟物件投資の特徴をまとめると、以下のような比較表になる。同じ不動産投資でも、かなりの違いがあることをお分かりいただけただろう。

<区分マンションと1棟物件の比較表>

区分マンション1棟物件
物件価格低い傾向高い傾向
オーナーの
業務負担
所有戸数が少ないため負担は少ない所有戸数が多いため負担は多い
流動性高い低い
家賃収入
ゼロリスク
所有戸数が少なければリスクが高いニーズのある立地であればリスクが低い

<Appendix>1棟物件よりも区分マンションの投資に向いているタイプは?

ここまで見てきたように、同じ不動産投資でも1棟物件と区分マンション投資では、かなりの違いがある。区分マンションの特徴を踏まえて、この投資形態に向いていると考えられるのは、次のタイプである。

ローンを利用して少ない自己資金で始めたい人

不動産投資を始めるとき、自己資金がどれくらい必要かは、購入者の属性や物件の条件などによって 変わってくる。一例としては、物件価格の20%以上の自己資金が求められることもある。

いずれにしても区分マンション投資は、1棟物件よりも購入価格が安いケースが多いため、用意しなければならない自己資金も少なめで済みやすい。また、借り入れ総額自体が少なければ、ローン審査のハードルも下がりやすいだろう。

こういった背景を考えると、金融機関のローンをうまく活用しながら、なるべく少ない自己資金で不動産投資を始めたい人には、区分マンション投資が向いているだろう。

少ない業務負担で副業として続けたい人

区分マンション投資は、ビジネスパーソンの副業向きとよく言われる。その理由は、入居者や物件を管理する業務の手間があまりかからないからだ。

不動産投資の管理形態には、オーナー自身で管理を行う自主管理と、専門の管理会社に任せる外部委託管理の2つがある。区分マンション投資の管理業務は外部委託されるケースが多いが、その場合、オーナーの業務は管理会社とのコミュニケーション、売却や修繕の判断、確定申告の準備などに限定される。

仮に、自主管理をしたとしても所有戸数が少なければ、管理業務の負担はあまりない。ただし、区分マンション投資でも所有戸数が多ければ、それなりの負担が生じるため注意したい。

副業でかかる税金については以下のコラムで詳しく解説している。


【関連記事】副業での税金を年収別でシミュレーション、計算方法も【早見表付き】

売却のしやすさを重視したい人

先述のとおり、1棟物件投資と比較した場合、区分マンション投資の特徴の1つに流動性の高さ、つまり売却のしやすさが挙げられる。不動産投資を始めるにあたり売却のしやすさを意識する人にとっては、流動性の高い区分マンション投資が向いているだろう。

補足すると、不動産投資にはインカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(売却益)があるが、キャピタルゲインは購入時の価格よりも高い価格で売れないと得られない。流動性が高いとは売主の言い値でスムーズに売れることを指すわけではない。希望金額を下回る金額でしか買い手がつかないこともある。つまり、キャピタルゲインを必ず得られるわけでないことは覚えておきたい。

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区分マンション投資では新築・中古どちらを選択?新築・中古区分マンションのメリットとデメリット

1棟物件と区分マンションとの違いを解説したところで、次に区分マンションの新築と中古の違いについて理解していきたい。一般的に新築区分マンションとはマンションが竣工してから1年未満で未入居の物件を指し、中古物件はそれ以外の物件を指す。

一般的な新築マンションと中古マンションのメリット・デメリットは以下のとおりだ。また、本記事のメインテーマは「中古区分マンション投資」のため、中古マンションのメリット・デメリットについてはより詳しく解説していく。

【新築区分マンションのメリット】
・新築物件は需要があるため、入居率が高くなりやすい
・駅からの距離や広さなどが同じような物件であれば、中古物件よりも家賃を高めに設定しやすい
・減価償却費を長期間計上できる
・購入してしばらくは修繕費を抑えやすい など

【新築区分マンションのデメリット】
・購入価格が高い
・上記の影響で低利回りになりやすい
・中古区分マンションに比べて物件の選択肢が少ない

中古区分マンションのメリット

  • 同じエリアの新築区分マンションと比較して安く購入できるケースが多い
  • 新築プレミアムがない分、物件価格の下落スピードが遅い傾向にある
  • 同じエリアの新築区分マンションと比較して表面利回りの高い物件が多い傾向にある
  • 既に入居者がいるため、実際の家賃収入からキャッシュフローの予測がしやすい

同じエリアの新築区分マンションと比較して安く購入できるケースが多い

新築区分マンションには手が届かなくても、同じエリアの中古区分マンションであれば相対的に価格が安いため購入できるケースもある。そのため新築だけではなく中古区分マンションにも目を向けるのが良いだろう。賃貸需要の高いエリアの物件は価格も高い傾向にあるが、中古区分マンションであれば同じ予算でも選択肢が増えるだろう。

新築プレミアムがない分、物件価格の下落スピードが遅い傾向にある

中古物件は新築プレミアムがないため、新築と比較して購入してからの物件価格の下落スピードが遅く安定した見通しを立てやすい点がメリットだ。例えば、新築区分マンションを4,000万円で購入し、1ヵ月後に中古区分マンションとして3,500万円で売却できたとしたら、新築プレミアムは500万円ということになる。不動産は、1度入居した瞬間から中古として扱われてしまうため、物件価格が大きく下がってしまうのだ。

同じエリアの新築区分マンションに比較して表面利回りの高い物件が多い傾向にある

中古区分マンションは、同じエリアの新築区分マンションよりも表面利回りの高い物件が比較的多いこともメリットの1つだ。

一方、後述のデメリットにもある通り、経年劣化が進んだ中古区分マンションは新築区分マンションと比べて入居者募集が難しいことや修繕コストが発生しやすい面がある。そのため、入居需要があるか、現況の家賃設定が相場と乖離していないか、どれくらいの修繕費が発生しそうかなどの下調べは重要になる。

既に入居者がいるため、実際の家賃収入からキャッシュフローの予測がしやすい

中古区分マンションは、過去の家賃履歴や同じマンション内における別部屋の状況などキャッシュフローの参考になる実績が豊富だ。おおよその家賃収入が分かるため、将来の予測を立てながら検討できるだろう。もちろん新築区分マンションであっても「予定賃料収入」としておおよその目安は分かる。しかしあくまでも近隣マンションなどの賃料を踏まえて算出したものであり、実際にその賃料で入居者が決まるかは不明だ。

中古区分マンションのデメリット

  • 築年数が古い物件はローンで不利になる可能性がある
  • 同じエリアの新築区分マンションと比較して賃料を下げなければ入居者が獲得しにくいケースがある
  • 新築区分マンションと比較して物件の修繕費がかかる場合がある

築年数が古い物件はローンで不利になる可能性がある

築年数が相当に古い物件は、金融機関でローンを申し込みする際、不利になる可能性がある。

金融機関によって担保価値の算定方法は異なるが、一般的な考え方として、積算法、収益還元法などがある。築年が古くなればなるほど積算法であれば法定耐用年数が残り少なくなり、収益還元法であれば期待利回りが高くなることから、いずれにせよ担保価値が低く見積もられやすくなる。

また、金融機関は融資可能期間について法定耐用年数を参考に期間を計算していくことが多く、築年が古くなると融資可能期間も短くなる。融資期間が短くなると、ローン組んだ際の返済金額が大きくなることから、家賃収入とのバランスが取れなくなり、扱いづらくなりやすい。

同じエリアの新築区分マンションと比較して賃料を下げなければ入居者が獲得しにくいケースがある

中古と新築の区分マンションで、賃料や立地などの条件が同じような場合、新築を選ぶ入居者は多いだろう。このように、新築区分マンションと比較して中古区分マンションは賃料を下げなければ入居者を獲得しにくい可能性がある。

もちろんエリアの特性や設定賃料、室内状況によっても異なってくるだろう。不動産投資は購入して終わりではなく、近隣エリアの動向や不動産市況全体の様子を見て家賃設定などをすることが求められる。

新築区分マンションに比較して物件の修繕費がかかる場合がある

中古区分マンションは、新築区分マンションと比較して室内状況や設備の劣化が進んでいるケースが多く、購入してすぐにメンテナンスが必要な場合が出てくる。入居者からエアコンや水回りの故障発生の連絡があった際には、突発的な修繕費がかかってしまうだろう。

新築区分マンションであれば不動産業者が売主となっているため、購入してから数年間はアフターサービス期間での対応も期待できる。しかし中古区分マンションの場合は同じようにはいかないため、新築区分マンションよりもランニングコストがかかってしまうこともある点はデメリットと言えるだろう。

結論から述べれば、中古区分マンションは不動産投資に向いていると言えるだろう。なぜなら、賃貸需要の高いエリアでは1棟マンションは購入価格が高く入手しにくいが、中古区分マンションなら購入しやすい価格帯で賃貸需要の高い物件を見つけられる可能性があるからだ。これから不動産投資を始めようと検討している方は、中古区分マンションも検討してはどうだろうか。

なお、中古区分マンションや新築区分マンション、1棟アパート、戸建てなど種類は問わず、物件の目利きに関する一定の知識は必要になる。その中で、中古区分マンションを含めた中古物件の特徴としては、過去の賃貸事例など比較検討できる材料があることから、初心者でも今後の見通しを立てやすい面があるだろう。ただし、前述のとおり中古区分マンションにもデメリットもあるので注意が必要だ。

中古区分マンションを購入するときのポイント

中古区分マンションを購入するときのポイントは、以下の2つだ。

  • できるかぎり物件を内見する
  • 購入前の賃料設定が適正なのかを確認する

空室物件は、実際に賃貸募集をかけてみないといくらの賃料で入居者が決まるのか分からない。販売時に賃料設定の目安はあるが、すべてを鵜呑みにしてしまうと損をすることもあるだろう。そのため、自分自身でも過去の賃貸履歴や他の部屋の賃貸状況、同じような物件の周辺相場を確認したうえで、賃料設定が適正なのかを判断しなければならない。

また、前の入居者の入居期間が長かった物件は注意が必要である。なぜなら同じ入居者が10年住んでいる場合、家賃は10年前に設定した価格のままの可能性があるからだ。不動産市況がよほど高騰していないかぎり建物が古くなっている分、賃料は10年前よりも下がっていると想定しておきたい。そのため、現在の入居者が退去した際に同じ賃料では入居者が決まらない可能性もあるだろう。必ず、現在の家賃相場と合っているか確認したい。

中古区分マンションだけでなく、区分マンション投資自体の注意点については以下のコラムで詳しく解説している。

【関連記事】ワンルームマンション投資における注意点とは?

まとめ

本記事では、不動産投資における中古区分マンションのメリット・デメリットを中心に解説した。中古区分マンションは、新築区分マンションと比較して物件購入価格が抑えられ、表面利回りも高い傾向にある。将来的な見通しも立てやすいため、これから不動産投資を始めたい人には検討しやすいだろう。一方で築年数が経過している場合、ローンを組みにくかったりランニングコストが高くなったりするデメリットもある。

また、不動産投資用に充当できる自己資金の金額によっても投資対象物件の選び方は異なる。自分だけで判断が難しい場合は、不動産会社などプロの意見も参考にすると良いだろう。

中古区分マンション投資に関するQ&A

Q:新築区分マンションと中古区分マンションとの違いは?

同じ区分マンション投資でも、新築マンションと中古マンションでは特徴や傾向が違うため、どちらが自身に合うかを慎重に見極めることが大事だ。例えば、メリットを比較しただけでも、以下のような違いがある。

【新築区分マンションのメリット】
・入居率が高くなりやすい
・家賃を高めに設定しやすい
・減価償却費を長期間計上できる
・修繕費を抑えやすい など

【中古区分マンションのメリット】
・安く購入できるケースが多い
・物件価格の下落スピードが遅い傾向にある
・表面利回りの高い物件が多い傾向にある
・物件運用の予測がしやすい など

Q:中古区分マンション投資の最大のメリットは?

中古区分マンション投資の最大のメリットは、購入価格の安さだろう。エリアや物件の条件が近いなら、新築区分マンションと比べて割安で購入できる。ただし、購入検討時は、相場の物件価格との比較が欠かせない。なぜなら、悪徳業者が相場よりも割高な価格設定で売り付ける可能性も否定できないからだ。

Q:中古区分マンションを購入する際のポイントとは?

1つ目のポイントは、中古区分マンションは高利回り傾向という思い込みをなくし、家賃設定や利回りが相場に近いかを確認することだ。そして、2つ目のポイントは、できるだけ物件を内見することである。現地を訪れることで、物件概要と違う部分や購入後のトラブルリスクが判明することもある。すでに入居者がいるオーナーチェンジ物件の場合、部屋の様子を見ることはできないが、周辺環境、外観、共有部などをチェックするだけでも契約是非判断の参考になる。

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情報提供元: manabu不動産投資
記事名:「 不動産投資に中古区分マンションは向いている?メリット・デメリットを詳しく紹介