「不動産はインフレに強い」と言われていますが、具体的にどのような理由があるのでしょうか。本コラムでは、インフレの基本情報から不動産投資がインフレに強いとされる理由、そして実際に不動産投資を行う際の注意点まで幅広く解説します。インフレに備えた資産運用を考える上で、重要な情報をお届けしますので、ぜひ参考にしてください。

そもそもインフレとは?

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インフレとは「インフレーション」を略した言葉で、貨幣価値が下がり物価が上昇することを指します。例えば、ある年にお米が10kgあたり約3,000円だったとします。しかし、その翌年にお米10㎏あたりの価格が4,000円に上昇した場合、同じ金額で同じ量のお米が買えなくなります。

インフレが進むと、貨幣価値が下がることによって同じ商品を購入しようとしてもより多くのお金が必要となります。インフレは経済全体に影響を与え、消費者の購買行動や企業の価格設定、さらには投資判断にも大きな影響を及ぼします。

インフレと不動産市場の関係性

一般的に、インフレ期には不動産価格が上昇する傾向にあります。まず、インフレでコンクリートや鉄鋼などの主要な建設資材の価格や労働コストが上昇し、それが不動産価格に直接的な影響を与えます。その結果、販売価格や賃貸料の上昇に繋がります。

また、インフレに伴い消費者の経済状況が改善することも、不動産市場に影響を与えます。インフレが進むと一般的に経済成長が促進され、企業の利益が増加し雇用が増えるなど、経済全体が活性化します。これにより、消費者の収入が増えて購買力が向上するため、たとえ不動産価格が高くなっても購入や賃貸の需要が高まり、不動産価格の上昇がさらに進むことになります。

不動産投資がインフレに強い理由

不動産投資がインフレに強いとされる理由には、主に3つの理由があります。

・実物資産なので資産価値が下がりにくいから
・インフレに伴って家賃も上昇する傾向にあるから
・借入金が実質的に減少するから

実物資産で資産価値が下がりにくいから

インフレが進行すると、物価が上昇して貨幣価値が低下する一方で、土地や建物といった不動産はその希少性と実用性から価値を維持しやすくなります。特に都市部や需要の高い地域では、土地の供給が限られているため、その傾向が強まります。例えば、東京や大阪のような大都市では、人口増加や経済活動の活発化に伴い土地の需要が高まり続けています。このような地域では土地の希少性が強調され、資産価値が安定しやすくなる傾向にあります。

また、建物自体も需要がある地域であれば実物資産としてその価値が維持されやすいです。このように、不動産はインフレ下でも価値を保ちやすい特性を持っています。ただし、建物については経年劣化などによって資産価値が下がることもあります。

インフレに伴って家賃も上昇する傾向にあるから

インフレ時には商品やサービスの提供価格が上昇しますが、不動産市場もこの影響を受けます。特に賃貸不動産においては、消費者物価指数の上昇に応じて家賃が上昇する傾向があります。また、多くの場合、賃貸借契約には家賃の定期的な見直しが含まれており、経済情勢や周辺家賃相場の変動によって調整されることがあります。

例えば、賃貸借契約において「家賃改定条項」が組み込まれている場合、物価上昇に応じて家賃を引き上げることが可能です。このように、インフレの進行で家賃が上昇することにより安定したキャッシュフローを確保できるため、不動産はインフレに強いとされています。

借入金が実質的に減少するから

不動産投資をする際、多くのケースで融資を利用しますが、インフレによって貨幣価値が下がっても不動産投資ローンの借入元金は変わらないため、インフレ率を加味した実質価値においては、借入金は実質的に目減りすることになります。

ただし、変動金利のローンを利用している場合はインフレに伴って金利が上昇し、結果的に返済額が増加することになります。収入と支出のバランスを見直し、無駄な支出を削減するなどして金利上昇に備えておくとよいでしょう。

また、十分な貯蓄を確保しておくほか、インフレに強い資産を含めたポートフォリオを構築することで、リスクを分散し、金利上昇の影響を緩和することができます。

不動産投資以外にインフレに強い資産

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インフレに強い資産として不動産投資が挙げられますが、他にもインフレに強いとされる資産があります。これらの資産はそれぞれ異なる特性を持っているため、インフレが起きても価値を維持または増加させる可能性があります。

・株式
・投資信託
・REIT(不動産投資信託)
・金やその他の貴金属

株式

株式は長期的な観点からインフレに強い資産として知られています。企業は物価上昇に応じて商品やサービスの提供価格を調整できるため、収益を維持または増加させることが可能です。特に強いブランド力や価格決定力を持つ企業の株式は、インフレ環境下でも安定した成長を期待できる場合が多いです。

投資信託

前述の通り株式はインフレに強いとされていますが、投資信託は複数の株式の組み合わせなので、投資信託もインフレに強いといえます。また、株式は個別の銘柄を個人で選ぶ必要がありますが、投資信託はプロの運用担当者が投資家から集めた資金を運用するため、比較的取り組みやすいのもポイントです。

ただし、債券中心の投資信託はインフレに対して脆弱な面があります。債券は借金の性質を持ち、インフレが進行しても返済額は変わらないため、実質的な価値が低下します。

REIT(不動産投資信託)

REIT(不動産投資信託)は、投資家から集めた資金を不動産に投資し、その収益を投資家に分配する金融商品です。そのため、実物の不動産投資と同様にインフレに伴う賃料上昇の恩恵を受けやすく、インフレヘッジとして機能する可能性があります。近年、不動産投資の利点がありながら、ローンを組んだり物件の管理をしたりといった手間がなく、少額から投資できる選択肢として注目されています。

金やその他の貴金属

通貨の価値が下落する中でも、金やその他の貴金属は実物資産であることに加えて、その希少性から価値を維持しやすいのが特徴です。特に金は、経済的不確実性や地政学的リスクが高まる時期にメリットが強まり、インフレ期には価格が上昇する傾向にあります。

不動産投資のリスク

不動産投資はインフレ対策として有効な選択肢の一つですが、良い点ばかりではありません。不動産投資自体にもリスクは存在します。不動産投資で起こり得るリスクを理解し、適切に対策することが重要です。ここでは、不動産投資における以下のリスクについて詳しく解説します。

・空室リスク
・家賃滞納リスク
・老朽化・修繕リスク
・災害リスク

なお、ここではリスクの一部をご紹介します。より詳しく不動産投資のリスクについて知りたい方は以下の記事もご覧ください。

【関連記事】不動産投資のリスクとは?9つのリスクとその対策

空室リスク

空室リスクとは、所有している物件に入居者が入らず、家賃収入が得られないことを指します。空室期間が長期化すると、固定資産税や管理費などの固定費の支払いが継続する一方で、家賃収入が得られないため、投資の収益性が大きく低下します。

空室リスクは、競合物件の増加、物件の老朽化、不適切な賃料設定、地域の人口動態の変化、周辺環境変化による立地条件の悪化などによって引き起こされる可能性があります。例えば、周辺に新しい賃貸物件が増えたり、地域の主要企業が撤退したりすることで賃貸需要が減少する場合があります。

家賃滞納リスク

家賃滞納リスクとは、支払い期限までに家賃が支払われないことをいいます。家賃の滞納が続けば投資家のキャッシュフローに直接的な影響を与え、ローンの返済や物件の維持管理に支障をきたします。また、長期に渡る滞納が起こると、入居者の退去のために法的手続きが必要となり、追加的な費用や時間の損失を招く恐れがあります。

家賃滞納リスクは、入居者の経済状況の悪化、入居審査の甘さ、不適切な家賃設定、入居者とのコミュニケーション不足などによって高まる可能性があります。例えば、入居者が失業したり、予想外の出費に見舞われたりすることで、家賃の支払いが困難になるケースがあります。

老朽化・修繕リスク

老朽化・修繕リスクは、建物の経年劣化に伴う修繕費用の発生リスクを指します。不動産は時間の経過とともに建物のあらゆる部分が劣化し、修繕や交換が必要になります。これらの修繕費用は高額になることもあり、投資の収益性を大きく圧迫する可能性があります。

特に、築年数の古い物件や過去に適切なメンテナンスが行われていない物件では、屋根の雨漏り、配管の劣化、外壁の剥離など予期せぬ修繕が必要になることがあります。

災害リスク

災害リスクは、地震、台風、洪水などの自然災害による物件の損壊リスクを指します。日本は地理的に自然災害が発生しやすい環境なので、災害リスクの対策は重要です。災害による物件の損壊は、修繕費用の発生だけでなく、長期間の収入喪失につながる可能性があります。

物件の立地条件(活断層の近く、低地、河川近くなど)、建物の構造、築年数、防災対策の不足などによって災害リスクが高まります。例えば、耐震性能が不十分な古い建物は地震時に大きな被害を受ける可能性が高く、水害リスクの高い地域では台風や豪雨時に浸水被害を受ける可能性があります。

不動産を選ぶ際のポイント

(画像:PIXTA)

不動産投資でリスクを最小限に抑え、安定した収益を得るためには、いくつかの重要なポイントを押さえて物件を選択することが不可欠です。そこで、不動産を選ぶ際の主要なポイントについて詳しく解説します。

・賃貸需要の高いエリアの不動産を選ぶ
・災害に強い地域にある不動産を選ぶ
・品質と管理状態の良い不動産を選ぶ

賃貸需要の高いエリアの不動産を選ぶ

賃貸需要の高いエリアの不動産を選ぶことは、安定した収入を得るための基本となります。具体的には、主要駅の周辺や、オフィス街に近い住宅地など入居者のターゲットに合わせた物件選定が重要です。ただし、人気エリアは物件価格も高くなる傾向があるため、投資利回りとのバランスを慎重に検討する必要があります。

災害に強い地域にある不動産を選ぶ

災害に強い地域にある不動産を選ぶことも、長期的な投資の安全性を確保する上で重要です。ハザードマップを利用して地震、洪水、土砂災害などのリスクが低い地域を選ぶことで、災害による損失のリスクを最小限に抑えることができます。

品質と管理状態の良い不動産を選ぶ

品質と管理状態の良い不動産を選ぶことは、将来的な修繕費用を抑え、物件の価値を維持するために不可欠です。築年数だけでなく、これまでの修繕履歴や定期的なメンテナンスの実施状況を確認することが重要です。

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情報提供元: manabu不動産投資
記事名:「 不動産投資はインフレ対策になる?3つの理由や不動産とインフレの関係性を解説