28日の香港市場は値上がり。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比169.50ポイント(0.69%)高の24772.76ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が76.44ポイント(0.76%)高の10151.89ポイントとそろって3日ぶりに反発した。売買代金は1124億1600万香港ドルに減少している(27日は1256億7700万香港ドル)。(亜州リサーチ編集部)


米株高を好感した買いが先行する流れ。大型IT関連株に好業績期待の買いが入り、昨夜のナスダック指数は1.7%高と急反発した。新型コロナウイルス感染拡大を背景に、「在宅」消費が活発化した——との見方が広がっている。香港でも同様に、ITネット関連の銘柄に物色の矛先が向かった。前日から算出・公表がスタートした「ハンセン科技指数(Hang Seng TECH Index)」は3.5%高と急反発し、構成30銘柄のうち29銘柄が上昇。組み入れウエート上位の「ATMX」と呼ばれる銘柄群では、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK)が2.3%高、騰訊HD(テンセント・ホールディングス:700/HK)が4.5%高、美団点評(メイトゥアン・ディエンピン:3690/HK)が3.2%高、小米集団(シャオミ・コーポレーション:1810/HK)が1.5%高と値を上げている。

ハンセン指数の構成銘柄では、乳製品メーカー中国大手の中国蒙牛乳業(2319/HK)が5.6%高、中国ニット衣料最大手の申洲国際集団HD(2313/HK)が2.8%高と上げが目立った。中国蒙牛乳業は上場来高値を更新している。

セクター別では、食品飲料や酒造、小売など消費関連が高い。上述した中国蒙牛乳業のほか、康師傅HD(ティンイー:322/HK)が2.0%、統一企業中国HD(220/HK)が1.5%、青島ビール(168/HK)が3.4%、聯華超市(980/HK)が15.7%ずつ上昇した(青島ビールは最高値)。スーパー中国大手の聯華超市に関しては、6月中間期の大幅増益見通しも材料視されている。新型コロナ流行により、消費財の需要が拡大したことが寄与した。

中国自動車セクターも急伸。東風汽車集団(489/HK)が13.5%高、比亜迪(BYD:1211/HK)が3.6%高、華晨中国汽車HD(1114/HK)が3.1%高、広州汽車集団(2238/HK)が1.7%高で引けた。東風汽車集団については、A株上場計画を打ち出したことが刺激。上場先は深セン証券取引所の「創業板」を予定し、調達した資金は、新エネルギー乗用車の新ブランド開発、次世代車の研究開発などに投入する計画という。

ただ、全体として上値は重い。米中関係の悪化や香港の新型コロナウイルス感染再拡大など気がかり材料が続くなか、指数は寄り付き後、上げ幅を徐々に縮小した。

香港に拠点を置く銘柄群の一角がさえない。ペニンシュラ・チェーンの香港上海大酒店(香港上海ホテル:45/HK)が2.3%安、不動産デベロッパー大手の長江実業集団(CKアセット・ホールディングス:1113/HK)が2.1%安、金融大手グループのHSBC(5/HK)が1.6%安と値を下げた。香港では29日から外食店での店内飲食が終日禁止となるなど、コロナ感染対策が強化されている。HSBCについては、一部事業の撤退報道が嫌気される。外電は28日、「米中両国の摩擦が激化する中、HSBCが欧米事業の売却を検討しているもよう」と伝えた。

一方、本土市場は続伸。主要指標の上海総合指数は、前日比0.71%高の3227.96ポイントで取引を終えた。消費関連株が高い。ハイテク株、海運株、不動産株や金融株の一角なども買われた。半面、産金株は安い。防衛関連株、医薬品株の一角も売られた。

亜州リサーチ(株)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 28日の香港市場概況:ハンセン0.7%高で3日ぶり反発、ハンセン科技指数は3.5%上昇