■要約

日本BS放送<9414>は無料のBSデジタルハイビジョン放送「BS11(ビーエス・イレブン)」を運営する独立系BS放送局である。キー局系列に属さない独立系であることに加えて、無料放送という2つの特徴を持ったBS放送局であると言える。独立系ならではの強みである全国のテレビ局及び制作会社との共同制作番組の提供が可能である。幅広い制作会社を選択して番組を制作することができるため、同社の制作したい番組について、最も魅力的な映像を制作できる会社との共同により視聴者に届けることができる。

1. 2020年8月期決算の概要
2020年8月期連結業績は売上高11,394百万円(前期比9.6%減)、営業利益2,189百万円(同29.3%増)、経常利益2,195百万円(同29.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,490百万円(同28.6%増)だった。売上高は広告主の広告宣伝費圧縮で減収となったが、おおむね修正計画に沿った着地となった。一方で、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の各利益においては、下方修正前の期初計画を上回って着地している。

2. 2021年8月期見通し
2021年8月期の連結業績予想は、売上高11,400百万円(前期比0.1%増)、営業利益1,510百万円(同31.0%減)、経常利益1,600百万円(同27.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,040百万円(同30.2%減)を見込んでいる。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響下で、テレビ広告収入において営業力の強化と良質な番組制作、効果的な広告宣伝により広告媒体としての価値を向上させることで、タイム・スポット収入の増加と周辺事業収入の強化を図る計画である。一方、費用面では、視聴者ニーズに沿った魅力的な番組づくりと番組編成を行いながら番組関連費用の効果的な使用とその他の費用の削減に努めることで、費用効率をさらに高めていく。なお、2021年8月期は小幅な増収に対して営業利益は31.0%減益を見込んでいる。これは番組制作が正常化に向かうことで費用が増加すると見られるほか、放送設備機器の設備更新投資を行っており、これに伴う減価償却費2億円程度を想定しているためとしている。

3. 中長期成長に向けた取り組み、対処すべき課題
同社は中期経営計画を策定し、それをメルクマール(指標、道標)に、中長期にわたる持続的成長を実現するべく取り組んでいる。しかしながら、コロナ禍に伴う状況の変化を考慮し、従来の中期経営計画の見直しを行った。これまでの基本戦略としていた「4つの“力”」として掲げている「マーケティング力」「企画力」「戦略構築力」「実行力」に、急激に変化する経営環境に対して挑戦し続けるための「変化対応力」「改革推進力」を加えた「6つの“力”」の強化・実践を掲げる。

■Key Points
・自社制作番組と外部リソースの最適なミックスが利益増加につながる
・「6つの“力”」を具現化する重点施策を、新たに「Value 5」として位置付け
・今後は、アニメを放送するだけでなく同社が番組販売できるようにするなど、周辺事業を発展させる

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 BS11 Research Memo(1):キー局系列に属さない独立系と無料放送という2つの特徴を持ったBS放送局