(2) 同社の優位性 a) 人気IPをヒットタイトルに結び付ける力 同社は日本の人気漫画やアニメーションなどをゲーム化し、運用するところに強みがある。主要タイトルの「スクフェス」や「キャプ翼」を始め、数々の人気IPを手掛けてきた実績は、有力IPの獲得から、そのIPを生かす企画・開発、更にはリリース後の運営及びマーケティングにおけるノウハウを蓄積しており、それが同社の強みを支えている。特に、日本のポップカルチャー(オタク文化)は、アジアや欧米など世界でも人気を高めており、海外展開を進めるうえでも大きなアドバンテージとなっている。また、有力IPをゲームでヒットさせてきた実績と経験、ネットワークは、更なる有力IPの獲得に向けて有利に働くとともに、自社IPの育成にも生かされており、好循環が生み出されている。
b) 独自のマーケティング力 精密なKPI分析や効果測定による効率的な広告宣伝活動を展開するほか、同社ならではのオンライン動画配信※等により、コアとなるユーザー層を囲い込む(ファンコミュニティの醸成)、効果的なマーケティングを展開している。また、これらの草の根的なユーザー接点(ネットワーク)は、新作タイトルの企画・開発におけるヒントや、リリース後の運用においても大きな支えになるとともに、他社が簡単にはまねできない財産となっている。
※国内向けは「KLab Games放送局+Plus」(2015年11月より放送されていた「KLab Games放送局」のリニューアル版。2018年8月に放送開始し、2019年8月に放送50回を突破)、海外向けは「KLab Games Station」(英語/フランス語/アラビア語で放送)を展開し、国内外でファンコミュニティ醸成に貢献している。
c) 運営力 前述のとおり、一般的なモバイルオンラインゲームには年々縮小していく傾向(自然減)がある上、ユーザーの移り変わりも激しいところに課題がある。一方、同社の場合、最近の業績推移を見ると、時間が経過しても増収となる事例が見られることから、その運営力の高さも強みになってきた。その一例に「ブレソル」があり、国内版はリリース4周年を迎えた2019年7月に、iOS国・地域別最高セールスランキングにおいて過去最高の3位にランクインした。コアファンを有する人気IPの特徴をうまく生かし、ユーザーが離れないようなイベント及び商材をタイミングよく投入することで、継続率及び課金率の向上を図っているところに秘訣があると考えられる。