同社はP-CABを医薬品メーカーに対してライセンスアウトすることで収益化を実現することになるが、これについて同社は、まずアジア地域(韓国・台湾・中国及び東南アジア)について韓国のCJヘルスケアにライセンスアウトした(2010年9月及び2014年11月)。さらに2017年12月にはCJヘルスケアの対象地域をROW(rest of the worldの略、具体的には中東、中南米及び東欧)へと拡大した。一方、日米欧の3大市場については導出先を追求している状況にあり、導出候補プログラムという位置づけとなっている。
a) 韓国での状況 CJヘルスケアは2017年8月に韓国で承認申請を行い、2018年7月に韓国当局より製造販売が承認された。これにより、同社は承認獲得に伴うマイルストン収入を獲得することになる。収益計上時期は2018年12月期下半期となる。金額は非公表だが、承認の獲得自体は高い蓋然性があったため今期の業績予想には織り込み済みで、予想対比での業績変動要因とはならない見通しだ。
b) 中国での状況 CJヘルスケアはP-CABについて中国のLuoxin Pharmaと独占的コラボレーション契約を締結しており、中国国内で臨床試験が進められている。この開発の進捗に伴い、Luoxin PharmaからCJヘルスケアにマイルストンが支払われることになるが、その一部は同社にもマイルストンとして入る契約となっている。中国での開発の現況はフェーズIを実質的に終了して最終報告書をまとめる段階にあり、2018年中にフェーズIIをスキップしてフェーズIIIが開始されることが見込まれている。一般論としてはフェーズIII開始に伴うマイルストンはフェーズIのそれに比べて大きくなると期待され、同社への収益インパクトも一定水準に達すると弊社では期待している。
c) その他の地域での状況 CJヘルスケアはまた、P-CABについて権利を有する地域が日米欧の3大市場を除くほぼ全世界に及んでいることもあって、それら地域での開発にも積極的に取り組んでいる。現状では、1)ロシア・東欧、2)南米、3)インドネシアを中心とする東南アジア、の3つを軸に、それぞれにおいて現地のパートナー候補企業との間で交渉を進めているもようだ。交渉の主軸は(薬効の評価などではなく)経済的な条件面にあるとみられ、合意が得られればスムーズに臨床試験等へと進んでいく可能性がある。それらの開発の進捗に伴い、同社はマイルストンを得ることになる。1つ1つは大きくなくとも、それらが合わされば無視できない収益インパクトをもたらす可能性があると弊社ではみている。