■要約

ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>は、店舗数で第1位の日本最大級のパチンコホール運営企業ダイナムを傘下に持つ。チェーンストア理論に基づいて練り上げられてきたローコストオペレーションに強みと特長がある。また、顧客第一主義や情報開示、コンプライアンス経営の徹底など、質の高い経営を実践し、業界初の株式上場を果たしたパイオニア企業でもある。

1. 2018年3月期は厳しい事業環境が続くなか、ローコストオペレーションの強みを生かして増益を達成
同社の2018年3月期決算は、営業収入152,092百万円(前期比3.0%減)、営業利益17,349百万円(同9.1%増)と減収ながら増益で着地した。パチンコホール業界の事業環境はレジャーの多様化や規制強化などの影響による客数減で、厳しい状況が続いている。そうしたなか、同社は既存客の来店数増や新規顧客の取り込みに向けた施策に努めた。最終的に営業収入は減収となったが、利益については強みであるローコストオペレーションの徹底により、4期ぶりに増益に転じた。

2. 成長戦略は不変。店舗数の増大と既存店売上高の拡大の2つを軸に展開
同社の中長期の成長戦略は店舗数の拡大と既存店売上高の拡大の2つの軸で構成されている。この基本的な考え方には変更はないが、一方で、パチンコホール業界の事業環境が厳しさを増してきていることも事実だ。こうした現実を踏まえて、2018年3月期はPB機導入などによる機械費削減やシステム開発などによる人件費抑制を強化した。また営業面では低貸玉営業の推進や地域性を活かした個店毎の販促策などを強化し、固定客の来店回数増加や新規顧客の獲得に注力している。また財務面では借入金の返済を進めた。これらの施策は短期業績にもプラスに作用し、2019年3月期も連続増益を実現可能と弊社ではみている。

3. 勝ち組として再編を主導し、増収増益基調に転じてくると期待
弊社では前述の同社の取り組みについて、非常に合理的で説得力のある施策だと評価している。射幸性の規制が進んだ現状では、パチンコホール業界そのものがかつてのような活況を取り戻すことは難しいとしても、同社が増収増益基調に転じる可能性は十分可能だと弊社では考えている。そのトリガーとなるのは業界再編の本格化であるという見方は従来から変わっていない。その到来時期について、弊社では遅くとも5年以内、早ければ2年後ではないかと考えている。

■Key Points
・ローコストオペレーションの徹底で機械費などを削減し、4期ぶりの増益を達成
・店舗数の拡大と既存店売上高の拡大の2つの軸から成る成長戦略は不変
・継続的なコスト削減への取り組みにより、2019年3月期も増益を確保できるとみる

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 ダイナムジャパンHD Research Memo(1):事業環境の変化の中、堅実なローコストオペレーション経営